Core Teamの憂鬱② 初ケースの試練


怒涛の一週間が過ぎ、初めてのガチなチームでお勉強イベントも経験。面白いことになりそうなので書き留めておく。

ここで改めてチームメンバーの紹介をしよう。

キム氏― 前にここで書いたMIT学部卒の韓国系アメリカ人の兄さんのこと。別にキム氏と呼んでいるわけではなく、苗字がありふれているから特定防止用。PEで「あと一歩でシニアレベル」という、大抵の人がMBAの3年後とかに目指しているキャリアについており、就活などでがつがつしておらず、「むしろ俺面接とか超得意だから助けてあげるよ」的スタンス。チーム内のムードメーカー隊員1号。アクティブで車の改造とか自転車の改造とかスカイダイビングとかが趣味。よく喋るが、エクセル担当でもある。30代前半。

ジョニー氏― こっちはジョニーと呼んでいるんだがアメリカ人はファーストネームの方がありふれているのでいいかなと。キム氏と同じようにPEでいいとこまで行った御仁だが、キム氏のようにガチ理系でいろいろすっ飛ばして来たのではなく、学部卒から3年くらい投資銀行やってPEに行っている、金融キャリアとしては王道を進んでるタイプ。こちらも30代前半。こういうキャリアなのに謙虚で優しい(偏見かな?)。当然のようにエクセル担当。

ジーコ氏― 同じくここで書いたブラジル人兄さん。「俺、英語下手だから」が口癖なのにすごく聞き取りやすい。彼については特定されても構わないらしいのでそのまま。

私「君らのこと、ブログに書いてイイ?」
ジーコ「当然じゃないか!おれたちブラザーだろ!」(←本当に言ったw)

チーム内ムードメーカー隊長。ガチムチでいつもジムに行っているらしい。ウォルマートのブラジル社でマネジャーを経験。「アホみたいに見た目だけ綺麗なパワポ作成」が得意と自分で言っていたので心強い。中国で買った送風効率が通常の3倍(当社比)な扇子を扇いでいたら「やべー、こえー!一晴ってキタナだったんだ!」と大騒ぎしていたので、実はヲタなんじゃないか疑惑も。たぶん28歳とか。

これがキタナ

ルーク氏― スターウォーズが流行った時期に生まれたせいでこの名前になったらしい。昨日、ここで書いたすごい人。その経歴からか、飄々としたところがあり、例えばチーム内でかなり議論が白熱してても、隣でどこ吹く風、と一人で何か分析している。でも、口を開けばたいてい誰も考えてなかった視点から説得力のあるサジェスチョンをしてくれるので、皆黙って聞く。

メンハズちゃん― 南アジア出身の女の子。コーポレートバンキング出身。25歳の人妻で、ものすごく可愛い。MBAに来るまではアメリカに来たことがないのに、英語がかなり上手。上手、というのはもちろん南アジア系のアクセントが満載だけれども語彙もフレーズも扱いが自由自在という意味。完璧主義者の優等生気質で、どこか昔の学級委員を思わせるところがある。実際本国では学級委員だったんじゃないか疑惑。今度聞いてみよう。

ジェーン女史― 口も手も早いP&G出身の姉御肌女性。今度のディスカッションにはプログラムが微妙に違うため不参加。

で、このメンツでDMDの航空会社のケースをやったんだが、とある大手航空会社の旅客機の大事な部品が毀れ、なんとかして取り寄せるまでフライトをキャンセルしたりクーポン渡したりいろいろせねばならない!どうしよう!意思決定のロジックツリーを作れ!という話である。この、「部品を取り寄せる過程のコストと時間の最小化」と「飛行機が動かない間のコストの最小化」は、たくさんたくさん与えられた情報に惑わされがちだが、最初は独立事項として扱わないと話が進まないと気づき、もちろん意思決定そのものには後者が重要な意味を持つが、選択肢には絡まないので、とりあえず前者が意思決定の8割だからそれを片付けようぜ、私が提案したら皆同意したので、意思決定部分の整理は早い段階でついた。

だが、そこでサクサク進むと思ったら甘かった。「色々あるけど大雑把に切り分けてだんだん正確にしていこう」みたいなアプローチが、メンハズちゃんの優等生気質などに火をつけたらしい。頭の回転も速く早口かつ声も大きいので、重箱の隅っこをつっついてチーム内の誰かと議論になることを繰り返し、30分。たぶん、色々ヒートアップしたのだろう、チームの最初の話し合いで「誰かが喋っている時は遮らずに訊こう」と約束したんだが半分無視してとりあえず喋る。

半分、というのは誰かが「いや、ここはこうだからこうだよね」と言った時、「だよね」の部分にかぶせて「その通り!私もそう思ってたんです!なので〇〇が…」とものすごい気が早い相槌を打って光の速さで発言権を奪うから。いや、同意する時くらいは静かに同意しようぜ、と突っ込む気力も虚しく話の主導権をまた握られそうになったその時、二人でコスト計算をしようということになった。空席を挟んで隣に座っていた私に向かって、

「一晴、Come here! We will do the calculations!」

と言われさすがにカチンと来て、思わず英語部時代の男声を使って、言ってしまった。

「No, YOU come here.」

直後、全員が固まる。「ちょ、一晴こえーよ(笑)」と最速でネタに持っていくジーコとキム氏。私は直後に破顔して付け加えた。

「いや、ジョークに決まってんじゃん。これはうちの猫の真似でさ、私がcome here!って手招きすると、絶対 You come here!って顔で素知らぬ振りをしてくつろぐからさ。メンハズちゃんが可愛いのでうちの猫を思い出してしまい、Come hereって言われた途端に反射的にそのフレーズが出てきた。ごめんごめん」

フォローになってない気がするが、私は変人キャラなので一応みんな笑って流してくれ、彼女も少しは静かになった。

しかしそれもつかの間、遅れてやってきたルークがひたすら集中してやっていた作業から顔を上げたので、こちらもwktk!となってリスニングモードに。

ルーク「これは、ケースの解釈の仕方次第ではキャンセルされたフライトのRe-bookingコストをほとんどゼロにできると僕は思う。ここの記載の表現では、全部で自社飛行機が四機あると解釈してもいいよね。自社飛行機の空席に載せる分にはこちらは一銭もかからないわけだし。あと、ビジネスクラスの客は急いでいる限り別にエコノミーに乗らせても構わないと思うんだけど。僕も何度もそれやったし」

私&ジーコ「うわ、それは新しい。ケースの学問的意義からだいぶそれてるけど敢えてそう解釈するのもありかもね。さすがに四機あるて解釈するのは無理があるけれど、後者はなんとかなるかも」

ルーク「でもこれこそが、誰もが見落とす活路かもしれないよ?とりあえず僕は、コストと仕事量を最低限にするか、そもそも抹消できる解釈を選ぶ」

メンハズ「いやでもそれだとこのケースの意義として間違ってるでしょ!減点されちゃうと思う!」

ルーク「本当にそうかな?このファクトとこのデータが明示されている限り、そういうことにはならないと思う。ケースの意義も議論の余地があるし、そもそも主観的なものだから。ここはエクゼクティブの立場から最善の選択をすることが重要なのではないかな?」

メンハズ「そうかな…」

ルークすごい。これからは彼女の相手は任せたぞ。議論が白熱した割りにはケースの整理はなんとか形になり、あとは細部を詰めるだけという段階になって解散した。

その後、解散したあとでたまたま教室にジーコとルークと残っていたんだが、ルークが意外にもぽろりと、

「ねえ、さっき僕はメンハズちゃんに対して言い過ぎたかなと反省しているんだがどう思う?ああいう感じで来られると、こっちもヒートアップした気がしてさ」

私「いや私よりはだいぶマシだろう。(ここで猫ネタをルークに説明。ルーク大爆笑)でも、本音を言うと、彼女以外の誰かに同じ事を言われても、You come here!とは言わなかったと思う」

ルーク&ジーコ「まじか」

私「いや、彼女のことは普通に好きだが、ああいうスタイルを続けられると条件反射的におちょくりたくなる。昔から個人主義者なため、学級委員タイプは苦手でして、できれば彼女にはあのモードになってほしくない」

ルーク「それもあるかもしれないけれど、僕の妻がインド人だからここは身にしみてるんだけれどさ、南アジアあたりの文化では、基本的に『Thank you』と『Please』と言う習慣がない。気持ちというよりは、言葉にしない文化だから、理解しているのとしていないのでは、だいぶ対応が違うと思うよ」

私&ジーコ「なるほどそれは勉強になる」

実際のところ、多人種多文化多業種で構成されたチームで面倒な問題に取り組むこと自体のすべての要素がものすごい勉強の連続である。メンハズちゃんとはチームワーク上ではこれからも色々発生することが考えられる以上、他以上に気を使って相互理解を深めておく必要があるだろう。今のところ、個人的になるべく仲良くなって遠慮無くものが言える雰囲気に持って行きたいと思っている。

その後ジーコにこっそり「You come here」の瞬間はスカッとした、これからもずっとネタにするつもりだと言われた。

ジーコ「ていうか一晴ってあれ、俺と違ってジョーク言う時は基本、目も顔も笑ってないよね(英語ではそういうのをdead punと言う)。昔の子供のアニメでBilly and Mandyというのがあるんだが、それのMandyに口調とスタイルが似てる!最高!これからも一緒にダークユーモアでチームを盛り上げようぜ!」

ちなみに、Mandyはこの子。見た目はだいぶ違うが、Youtubeなどで見てみると、たしかによく練られたサーカスティックなことをいつも言っていて楽しいキャラである。

Mandy

ちょっと嬉しかった。

追記:うちのチームのように全部対面+話し合いで問題解決しようとするグループだけでなく、個人ワーク+メールだけでサクサク仕上げてるところも多く見受けられるのでうちのが効率悪い気がしてきた…が!全員が間違いなく内容についていっていることを確認するにはいい方法だと個人的には思っている。

授業開始から3日~息をつく暇も無し


授業開始の火曜日から今日までの更新回数を鑑みるからに明らかだと思うが、目が回るほど忙しい。実際幾度か目を回している気がする。

これからちょっと夜更かししてでも読まねばならぬケースがあるのでここは手短に行こう。

まず、授業。

今セメスター取っているのは以下のとおりだ:

15.010 Economic Analysis for Business Decisions (MBA Core)― 要するに経済。

15.060 Data, Models, and Decisions (MBA Core)― 所謂DMD.ロジックツリーなんかやってる。教授はNerdyな女性で、印象的だった言葉は、「あなた方はここに座ってるからにはさぞかし賢いんでしょう。でも、この授業で扱うことの難度は人によって異なります。超簡単!と思う人もいれば、なかなかキツイ人もいる感じでしょうね。アホ質問大歓迎なんでついてきてね!」

15.280 Communication for Leaders (MBA Core)― コミュニケーション術の授業。私はMBAは結構ソフトスキル重視なので、楽しんでいる。

15.311 Organizational Processes (MBA Core)― ビジネス上の、組織を俯瞰した視点のソフトスキル講座。初回なので160分やったが、全く飽きなかった!Your average white friends’ dadみたいな見た目の教授はディスカッションをリードするのが上手く、今までで最も盛り上がった気がする。

15.761 Introduction to Operations Management (MBA Core Elective)― これは選択授業なのでチームが違う。授業内容はオペレーションだが、まだ勝手がわからない。たまたま隣に座っていたスカしたお兄さんにチームに誘われたんだが、蓋を開けてみれば偏食王と同じ会社だった。頼りになるな。ちなみに会社に戻るつもりはなく起業するらしい。

15.S03 SSIM: Introduction to Enterprise Management (for MBA Enterprise Track Students) これはまだわかりません。

15.515 Financial Accounting (MBA Core)― まだ授業がない。せいぜいチームメイトの役に立とう。

あと、チームメイトのルーク氏がすごいという話。彼はコアチームの日記で書いたアントレ兄さん(32)で、アレルギーがめちゃくちゃ多いせいか(麦類、卵、牛乳)鶴のように長身痩躯で、落ち着いているのでなんか浮世離れした雰囲気がある。会計事務所を相手にしたコンサル会社(アウトソーシングソリューションとかだと思う)をたちあげて売っぱらってMBAに来ているが、その経歴が支離滅裂で、大学で哲学を専攻し、アカデミック哲学者になりたくて神学の大学院に進んだんだが、会計事務所を経営していた父親がアウトソーシング・プロジェクトが暗礁に乗り上げたのを夕食中に聞いて「じゃ、僕にやらせてよ」と言ってから(お気づきだと思うが、この時点でビジネス知識ゼロ)なんとプロジェクトを成功させ(!)それから起業家の道を歩み始めたというから半端ない。

たまたま一緒に御飯食べることになり、テキトーに世間話をしていて職の話になったら、ものすごい真面目な顔で、

「君のスキルセットと語学力では独立した方が少なく見積もって何十倍も稼げるし何百倍も楽しいと思うよ」

と、その一言だけでなくかなーり細かいリスク分析、シナリオ、金や時間の見積りを出してくれ、「これでも会社で働きたい?自分の運命は自分で決められる方がいいんだけどな、僕は」などと言い残して笑顔で立ち去ったので、頭の酸素供給が追いつかずクラクラしてしまった。MBAの醍醐味は、実は「今まで考えもしなかったことを考えもしなかった角度から指摘され、頭がクラクラすること」じゃないかと本気で思う。

その後酒が入ってから、「そういえばルークは神学生だったのよね。一応クリスチャンなの?イタリア系だからカトリック?」って問うてみたら「えーと、超初期のギリシャ正教、とでも言っておく」と返された。なんだそれは、と食いついたら、キリスト教の成立当時の背景と宗教観とピュアな時代の信仰について学んでいたのだという。私がクリスチャン学校に行っていたことと聖書をがち読みしていたこととイエスキリストは好きだがパウロは嫌いだということを話したら「そういう話大好き♥」とにやり。

ル「それで、初期のリーダーの中には色んな教義の解釈をする人たちがいてさ、全世界から集まった権威ある人々で会議が開かれて」
私「それってニケア公会議?」
ル「そうそれ!ちなみに英語ではニケアはナイシアン、というけどニケアでも合ってるよ。それで三位一体を採用することに…」
私「ルークはどういう信仰形態なのさ」
ル「僕は、基本的にニケア公会議の決定に従う。だから、カトリックでもプロテスタントでもないし、特定の教会にも属さない」

ちなみに、ニケア公会議は325年の出来事である。カリスマ牧師の説教でもなく、教会コミュニティでもなく、聖書の自己解釈でもなく、家庭環境でもなく、2000年近く前の出来事に自己の結構大事な部分を完全リンクさせられる人と机を並べている事実に、うまく言語化出来ないが、とても感動した。その後もちろん色々白熱し(MBAなのにw)また遅くまで飲んでしまったオチなんだが…。

MITに着いてから約3週間、一日もアルコールフリーだった日がないという恐ろしさよ…。

【今から告知】ケンブリッジエリアの超、超安い家


住居問題の後始末に大家のおばさんがやってきた。そこで得たすごいニュース。

うちの屋根裏2部屋(D子とM男が住んでるとこ)は、なんと家賃が月で500ドルなんだそうだ。そんな値段の住居は、このエリアでは聞いたこともない。

キッチン、リビング、バスルームは共用(ただしその三者のコンディションは悪くない)、部屋は7ー8畳なんだけど屋根裏なので屋根に頭がぶつかる地区が結構ある。なんだろ。猫みたいに隅っこの隠れ家ぽい雰囲気に住んでみたいMITでの貧乏学生生活希望者は私に連絡下さい。MITへのアクセスかは抜群です。

あと、950ドルで広々と陽当りの良い10畳間も来年空く予定ではある。これは頭をぶつける可能性はないがバスルームは共用。

気心の知れた小柄な女の子が数人住む分には楽しいと思うんだけどね…。

住居問題解決!と授業開始前夜のもろもろ。


ちょっと色々苦しかったが、住居の問題が解決した。

前回のおさらいで、住人は、以下。

1. D子 3階の屋根裏部屋在住。日系ブラジル人の秘書。猫Sをかわいがってくれている。
2. M男 3階の屋根裏部屋その2に住む。イタリア人の怪しい会計士。現在出国中。彼も猫を欲しがっていた。
3. S子 2階角部屋在住。米人ナース。
4. 私。

私の他の3つの部屋に住んでいる人たちは以下のとおりなんだがD子の部屋の先住人お姉さん(先住子)が「こいつら全員光熱費滞納中!」とおでこの血管を完全にひくひく浮かせた状態で怒鳴りこんできた上にただでさえ安価というかほぼ粗大ごみの価値しかない家財道具を洗いざらい持ちさって行ったのが昨日。家財道具の内訳は、傷だらけのコーヒーテーブル、焦げ目を敷物で隠さなきゃいけないソファ、M男が使い古してシミとかがついているマットレス、キッチンにあったゴミ入りのゴミ箱そのものなど。光熱費滞納に怒り心頭すぎてここの住人のComfort levelを下げるだけのためにそれらをホームレスシェルターにでも持っていったのかと邪推するくらいのレベル。

で、S子はちなみに先住子の電話とかメールを一切無視して、光熱費を$100くらい滞納したまま消え、大家さんが敷金から天引きすることで決着をつけたという。猫嫌いでめんどくさいなとは思っていたものの、話した感じは普通だったから確信犯的にそんなことするタイプに思えず、なんかそこが空恐ろしい。でも、彼女は去り、代わりにDukeのPhD卒のポスドク(ドク男)が入ってきて私とは共通の友達までいる仲だと判明したのでひと安心。単身赴任タイプのポスドクで、奥さんのいる家では三毛猫を飼っていてうちのもかわいがってくれている。

D子の言い分はまだわかる。彼女は先住子に会ったことがなく、先住子が国外にいるのにこの家の世帯主を名乗って金を集めている!しかも光熱費明細を見せてくれない!というのを大いに怪しみ「明細を見せないと払わない」態度を貫いている。先住子は手製のエクセルシートでこれに対応したがもちろんD子は折れない。平行線のまま今に至る。

M男に至っては完全ミステリー…。

なんかこう、まともそうに見えるけど、いまいち信用出来ないかもしれないルームメイトを相手にしなきゃいけないこの雰囲気…思い出した。前にもあったんだよな。それは2009年のこと。こんな流れでその事件は発生した。

偏食王がコンサルファームの同期と一緒にアパートを契約→同期が彼女のいるNYに引っ越す→同期の都合で出ていったため、住んでないのに家賃半分負担していたが、きついのでCraigslist.com(米で大流行かつ大問題もたまに起きてる巨大「買います」「売ります」掲示板)で代替のルームメイトを探す→まともそうなEmoryのロースクール生が見つかってやって来る(R氏)→2ヶ月後、R氏が偏食王の銀行口座から金を自分名義の口座に移しているのが見つかる。同時に家に帰るのが怖いので同棲開始→R氏、偏食王の名前でカードを作り限度額まで引き出したり、偏食王の小切手で他人から車を買ったりやりたい放題。→地元警察も忙しいのでケチなIdentity泥棒はあまり探してくれなかったのに、小切手詐欺による車泥棒はCar theftが適用され、盗んだ車でミシシッピに渡っているところをご用。

ちなみに銀行からお金は全て戻ってきたので特に金銭的損害はなかった。我々が本格的に同棲する遠因となったこの事件だが、私には普通ににこやかに挨拶したR氏がこんなことしたのが普通に恐ろしかった。今回の件はそれほど深刻ではないが、とりあえずそれほど信用度が高くない人々が毎月いろいろ払ってくれるか心配する生活を送るのはごめんだと思い、私名義で光熱費を契約したくない旨を伝えたら、大家さんがとりあえず監督することに。一応一件落着。この人達がMove outしたら次の年のSloan生を頑張って勧誘しよう。そうしよう。

実は連休はそれだけじゃなくて、Sloan同級生の素敵カップルさんとチャイナタウンで重要食材(味噌、老乾MA、ポン酢)を買い込んだり、飲茶とブラジリアンBBQを食したり、北海道に一緒に行った長い付き合いの今HBSにいる友人とHBS人と鍋パーティーしたり、古賀洋吉さんのBBQに潜り込ませてもらったり、色々楽しいことはあったのよね。

さて、今日の4時から授業開始ですよっと。ケース読も。

あ、あとMIT Sloan Class of 2014の面々がかなり力作の(私のはテキトーだが)受験体験談を書いております。興味ある人はどうぞ。

宿題やろうと思った休日にとんだ災難と果報


連日飲み続きのパーティ続きからしばし解放されて、とりあえずアサインされたReadingをやる予定がとんだ災難に。

とりあえず状況を説明しよう。

私のシェアハウスには部屋が4つあり、非常に理解のある中国人のおばちゃんが大家さんである。この部屋はMITから徒歩10分で寮よりアクセス面で便利であり、前に住んでいた卒業していくSloan生からリースを家具ごともらって今に至る。MIT周辺はものすごく賃料が高いのが相場だが、至れり尽くせりのアパートではなく個人所有の木造ハウスなので割りと安くて済んでいる。

で、この他の3つの部屋に住んでいる人たちは以下のとおり(仮称):

1. D子 3階の屋根裏部屋在住。日系ブラジル人の秘書。猫Sをかわいがってくれている。
2. M男 3階の屋根裏部屋その2に住む。イタリア人の怪しい会計士。現在出国中。彼も猫を欲しがっていた。
3. S子 2階角部屋在住。米人ナース。
4 私。

S子は猫が嫌いでちょっと面倒だったので、昨日引っ越していった後はこんどこそ猫Sが自由に出来るぞと喜んでいた矢先、今度はD子のリースを正式に持っているという、一番古株のお姉さんが今日怒鳴りこんできた。

つまり、彼女はD子に又貸ししていたのだが、今までずっと4人分の電機水道ガス代を一括管理してきていた。つまり、彼女名義で会社に払い、残りの3人からかかった分をもらうスタイルだ。だが、D子もM男も出ていったS子も、ここ5ヶ月のあいだ、電気水道ガス代を一銭も彼女に払っていないというのだ。

「明日までに誰が9月から電気水道ガス代を払うか決めて、電力会社に連絡しないと、明日から全部止めるからね!!!」

と言い残して、彼女のものだという家財道具をD子やM男の部屋から洗いざらい持ち去り(ベッドのマットレス、コーヒーテーブル、ソファ、カーテン、その他もろもろ)、がらんどうのリビングルームを残して立ち去った。

ああどうしようと途方に暮れていたら、お姉さん、私が広げている教科書をみて、

「あら、あなたもSloanなの?私もなのよ!2010年卒だけど。ところで、地下室に私の使った教科書その他が全部置いてあるから全部あげるわ」

そう言い残して、彼女の車は颯爽と消えた。

果たして、地下には大量の教科書と、ケーススタディと、MBAのノートが積んであった。まともに買えば少なく見積もって$500くらいする代物を「いらないからあげる」とぽーんと渡され、再び目が点になる私(アメリカの教科書は高い)。

結局、電力会社の名義を誰にするか、お姉さんが払ってきた電気代などをどう返してあげるかなどの面倒事は明日大家さんがやってきて片付けることになり、とりあえず今は落ち着いた。

とりあえず、一番の災難はやろうと思っていた宿題がこの騒ぎで半分も片付いてないのに次の予定に赴かねばならんことであろう…。

Beer Gameについて、ちょっとシリアスな追記


もちろん、ここで語られているのとほぼ同じ内容なんだが、私は事前に多少の了解があって心落ち着けてやれたものの理想的とは程遠く、チーム内では同じく、なんかこだわらないタイプの人が数人いたため大きなコストを抱えることは免れても入賞には至らなかった。

入賞って何かって?高名なSternman教授が413人いるMIT新入生全員に1ドルずつ供出させて、上位3位のチームにDistributeする、というかなり楽しいインセンティブを儲けてくれたのである。ゲームの内容とインサイトはいつものLilac女史のサイトをご覧になられたし!だが、私として特筆すべきことは以下である。

Beer Gameをやると、人間の根源的な弱さというものが露呈される。人種、バックグラウンド、教育レベル、職歴、性別に関わらず大抵のプレイヤーはこう考えるからだ。

「ゲームが上手くいっていないのは、隣のサプライチェーンを担当している人たちが救いようのない馬鹿であるからであり、消費者がしょうもない阿呆であるからであり、よって自分の責任は微塵もない」

この現象を社会心理学のTermでいうと、Fundamental Attribution Error(対応バイアスまたは根本的な帰属の誤り)――英語でも日本語でも微妙にぎこちないその言葉は、しかし社会心理学の根本をなす概念でもある。人は基本的に、他人の過ちを責め立て、その人格を貶める理由に繋げ(例:これだから女は…とか、これだから○○人は…とか)己の過ちには千万の外的要因を用意する。その「これだから〇〇は…」というちょっとしたいらつきが偏見そのものであり、世の中の大抵の矛盾を引き起こしている元凶でもある。

アブグレイブの虐待などセンセーショナルな事件や犯罪も、大抵の人間は同じ立場だったら同じ事をやっている。腐ったみかんが存在するのは箱が腐っているから、というケースの方が絶対的に多い。「いや絶対に自分がその立場でもそうならない」と断言する人間こそが一番危ういし(自己認識の低さから)、私からするとそういう断言は世の中の矛盾にすでに加担している。Sternmanは、そういった人間誰しも持つ弱さというのは完全に認識した上で克服するしかないという。

個人的には、そういう認識を持つのは難しいと想像する。余程の優しさと想像力を持っている人か、挫折に近い形で世の中の標準では褒められたものではない選択をし己の弱さを受け入れた上で生き延びた経験がある人でないと、簡単には持てる感覚ではないと思う。だからSternman教授はMIT新入生全員にこのゲームをやらせ、全員に挫折を経験させた。1位のチームを含め、全員がゲームそのものに負け、その傷口からこの教訓を吸収するデザインなのだ。

「あなたがたの中で、罪を犯したことのない者がまず、この(姦淫で捕らえられた)女に石を投げればいい」とはイエス・キリストの名言だが、この認識に繋がるものがあるから、私はイエスが結構好きだ。その精神と真逆なことを推奨し実行してきた、彼が祭り上げられている宗教Sについては複雑な思いがあるけれども。

これは完全な邪推かもしれないが、SloanのAdmissionはこういう自己認識が出来そうな(底抜けに優しいか想像力があるか痛い目を見たことがある)人間を特に採用しているのではないかと一瞬思った。出会う人出会う人、なんだかものすごくForgivingで、ある意味超越していて、ここはbusiness schoolなのかdivinity schoolなのか、たまによくわからないくらいだ。

あと、Sternman教授のテンションが5時間くらいずーーーーっと超ハイパーで、舞台などで役者がセリフを言うレベルのエネルギッシュさがひたすらすごい。何年も続けていることとはいえ。だが、最後持っていった結論を鑑みるとこれは情熱というより使命感ではないのかとこれも邪推。

Beer Gameが締めくくられた直後、会場はSloan新入生全員のSternman教授に対するスタンディングオベーションで湧いた。

ただひとつ言えるのは、彼の授業はこれから先どの学期も人気過ぎて、ぱつんぱつんで、ものすごく潜りこむのが難しいのだろうということだけである。

Orientation 3-4日目 簡易版


相変わらず、連日のパーティ続きで今夜も帰宅がこんな時間になってしまった。ベッドの中から部屋で追いかけっこしている猫Sを眺めつつ、Sloanに来てよかったなとしみじみ思う。来週から課題だらけの日々が始まってしまうわけなんだが…。

さすがにそろそろ寝なければ健康に支障をきたすので、ここ数日の出来事を箇条書きに並べてとりあえず更新し、次にまとめて文章にしようかとぼんやり悩み中。

Orientation 3日目 模擬CaseとAccounting教授とかなり秀逸な異文化交流の難しさを体現したゲームに出会う。ゲームの内容は将来Sloanに来る人がこれを読んでいるとしたら…うーん、なんか「こんな楽しいことやったよ」と宣伝したくもあるし、サプライズ要素をネタバレするようでちょっと心苦しくもあるからちょっとどう書くか迷っている。夜は毎週水曜日にSloan生が集まっているパブに行って、Sloan生がひしめき合っている中で何人か違うOceanの人々と交流し、学生パブなのをいいことに超安いウォッカを大量にソーダで割ったものを2杯呑んだら翌朝の頭痛がすごかったオチ。ウォッカがあれ、4割くらい入っていたぞ絶対。

Orientation 4日目はなんといっても有名なBeer gameが主役だが、その前もいろいろ.かなり有名なビジネスリーダーを集めた「企業の存在意義とは」みたいなパネルもあったんだけど、錚々たるメンバー(詳細は忘却の彼方)にも関わらずパネル自体は話がやたら長く、質問した学生に対しても質問にちゃんと答えてない!とあとでOcean会議で文句が出る始末。でもパネルってそういうもんなのよどこでも!という声もあがって面白い感じに。その後毎度毎度ながら微妙なゲーム。パーソナルな質問(重要度はまちまち)が書いてあるカードを持ち、クラスの人間にそれを聞く。答えをもらい、相手の質問に答えたらカードを交換して次へ行くルール。まだ話してないクラスメイトと話すいい機会なんだけど、また私らしいオチに。

1人目 コアメンバーの女の子への質問 「人生で個人的或いはプロフェッショナル的に一番成長した時期は?」では、回答が「お父さんが政治的迫害により刑務所へ送られたとき。7ヶ月だけだったけど、家族を護るために私が戦わなきゃ!って相当頑張って成長したと思う」なんて超エキサイティングかつディープな話を引き出してしまい、詳細をついついフォローアップしてしまう。私がもらった質問は「1週間同じもの食べ続けるとしたら何がイイ?」とかくだらなかったのに。ちなみに答えはトマトが入ったコンソメ野菜スープだ。バランスがとれているし。

2人目-3人目 シンガポール人兄さんからの質問 「人生に一番影響を与えた映画は?」では、どんだけThere will be bloodが嫌いだったか、観た後で引きつけを起こしたかを語ってしまった。で、そのカードを持ってベネズエラ人に聞いたら、スターリンと恐怖政治とベネズエラ現行独裁者とどうのこうのどうのこうの延々語ってしまったw でもそれでいい。私は沢山の人間と浅く情報交換するより、少数とちょっと深めに語って覚えてもらう方が好きな気がする。そういう関係をこれから広げていけばいいわけだし。

その後、かの有名なBeer Gameがついに始動。これについてもどこまで語るかちょっと迷っている…w

Beer Gameという単語が出るたびにいつもAdmissionのおばちゃんが「本物のBeerは出ません!」と念を押していたのだが、実はゲーム後にレセプションがあったので結局Beerが飲めたというオチ。

レセプション後はノリノリのクラスメイトたちとCentralのクラブへ繰り出し深夜まで踊り明かしてしまって、これを途中まで書き、PCの上に突っ伏して我に返ったのが翌朝の今ココ。

Core Teamの憂鬱


とは言っても、本当に憂鬱だったわけではない。素晴らしいチームメイトを得たと思っている。

今日は野外へ繰り出して、かの有名な(?)OrientationのTeam Building、つまり、必修科目の宿題を全部一緒にやることになり、その後のMBA生活でもかなり大事な人間関係の基礎となるチームメンバーのナカミとスタイルを把握するきっかけを作るあれをやった。

写真はイメージです。キャンプファイアはやっていませんw

活動内容はリンク先(Lilac女史)と全くそっくり(過去十五年間そっくりらしい)なので繰り返す必要もないが、私のチームに限っては…

○ 口も手も早いP&G出身の姉御肌女性以外、自己主張の強いタイプが皆無。皆揃って優しく、話がわかり、聞き上手(私に関しては、自己主張強いではないかと言われそうだが主張したいことが限られているシチュエーションにおいては大人しいのだ)。姉御も別に「自分が自分が」というタイプではなく、姉御役をする機会が多くてそうなってるだけという印象。ちなみにLGOというMBAとエンジニアリングが一緒に取れるプログラムに属していて、「そこでのチームは皆自己主張が超強かったのになんなのこのチームはw」とびっくりしていた。

○ そのかわりノリがいい人も少なめ…かと思っていたんだが。ウォルマートのブラジル社で5年くらい働いていた筋骨隆々なお兄ちゃんは葬式の時でさえその場を明るくしようとする(らしい。ネタの一つかも)筋金入りのコメディアンでそういうの担当になってもイイヨ的なことを言っていたんだがアメ人はブラジルとはノリ自体が違う!とぼやいていた。でも、ボートを組み立てるやつでDisasterに陥っていたときにうまいこと笑わせてくれた。

○ 結構すごい人がいる。現時点で判明しているだけで、2人がPEでいい位置にあり、あとの1人は起業家で、9年間築いた数百人規模のコンサルファームを売ったばかり。

○ 韓国系アメリカ人の兄さんは学部もMITで航空系エンジニアリングを専攻し、たまたまインターンしたらリサーチ能力がありすぎてPEファームに雇われ、そのまま結構偉くなったりしたり。ファイナンスでは頼り倒そう。この人とはバスで仲良くなってMITの最初の数学では隣に座っていた15歳の子のノートを写させてもらわないといけないほど教授が速かったりしたもんだから「俺が理系では1番だぜ」の集合体である新入生のプライド崩壊が激しすぎて自殺率がすごかったりなんてダークな裏話も聞かせてもらった。実際、友達を数名自殺で亡くしているから半端無い。これは、気をつけないといけないなと私の中の妄想子育てアンテナが作動した。生まれつき聡明な子ほど「一番で当然」というやつに陥る危険性が高く、その幻想が砕かれた時のショックも強い。別に子どもや大学生に限ったことではない。『グッドウィルハンティング』の教授でさえ同じような崩壊を経験し、なんか色々壊れていたし。単純競争では勝てない人間がいるという事実を受け入れられるような教育が出来のいい子には最重要なのかも。

○ ボート組むやつは完全にDisasterousとしか表現できない結末に。みんながみんなの意見を聞き、『いいねそれやってみようか』ということを繰り返した結果、エンジニアが数名いたはずのうちのチームのボートは水につけるかつけないかの時点で崩壊。目的の大きな一部はチームの旗を向こう岸に渡すことなので最悪他チームのボートを借りられるよう交渉した後(チーム間の協力は推奨されている)持ち場に戻ったら、ボートが解体されていた…!!!

久々に自分の中で何かが壊れた気がした。

私「ちょ、ちょちょちょこれなんなのよ!?まだ10分あるんだからもう一回ダメ元でも浮かべようよ!」

韓兄さん「いやこれもう無理だからせめて解体分のポイントをもらおうかと」

私「せっかくこんなとこまで来て悔しくないの!?せめて一回くらいお願い!」

しかしもう遅かったのだ…。

その後、他チームのボートに乗って旗だけ向こう岸に渡したが、私は激しく後悔に襲われていた。こんなとこで感情的になってはだめではないかと。確かにポイントはその場の自己満足だけしか意味しないけど(何かもらえるわけではない)誰かの成功のものさしには替わりないんだから真っ向から否定するべきではなかった、と。

けれど、その後でお互いのフィードバックをする機会があったとき、「君の態度は課題に真剣に向き合っているのが伝わってきて、好印象だった」なんて言われ、なんて優しいチームメイトなんだと実感。みんながみんなの意見を聞き、『いいねそれやってみようか』というリーダーシップスタイルが必ずしも最適ではないこと状況もありけれ!ということを学び、リスクのない失敗体験とか貴重だよねと納得しあってさらに仲良くなって解散した。

彼らとのこれからが、とても楽しみである。

入学式!Ocean!Core Team!!!!(と、ちょっとだけ猫の話)


入学式というほどフォーマルなものはないが、Commencementという名のホテル会場に集まって朝飯(タダ)を食しながら、終わったあたりでMIT学長及びDeanのスピーチが続く儀式から月曜の朝は始まった。

たぶんその場にいたほとんどの新入生が、Head DeanのDavid Schmittleinの言葉にどこか揺さぶられたのではなかろうか。最たるのは、以下(exact wordsではなく、うろ覚え)。

― Your strength can be your biggest hindrance to your growth and success. Strengths narrow your growth. During your time at Sloan, you should get out of your comfort zone and find yourself new strengths.

― If you continue to walk the straight path that took you to Sloan after you leave here, then you did not experience Sloan to the fullest.

曰く、Sloanに入る前の自分の強みや得意分野ほど、その持ち主のの成長を妨げるものはない。そこに留まっている限り、限定されて居心地のいい場所を出ていないからである。おのれの新しい可能性を探っていないからである、と。そして、Sloanに来る前に歩いていた道を、卒業後もまっすぐ歩くなら、その人はSloanを正しく経験し、成長していないことになる(うろ覚えの更に意訳)、と。

入学前のエッセイでは、自己の強みと夢と希望をこれでもかと繋げて言語化してきたが、そういえばオチはいつも、「▲▲が得意なのでXXになりたい。XXになるためには○○が必要だけれど、拙者はまだ○○を学ぶ機会がなかったので、貴プログラムで是非学びたく…」だった。今現在で足りないと思っているもの、意識してもいないけど強みとして認識していないことを発見し、研究し、苦痛を伴う掘り下げ方をして成長しないとSloanに来た意味が無い。そして、入学前に思い描いていたそのものの道に進むのも、ちょっとつまんなさすぎるだろってことなんだが、私には結構響いた。

私には正に、得意分野(語学、会計、記憶力、グローバル体験、手の速さなど)を軸に道を選び、それを盾に苦手分野をやり過ごしたり回避する傾向がある。常に新しいものに挑戦するどころか、今日だって「私はこういうタイプじゃないからそれはやらない」って何回言っただろうか(注:ハイキングやスカイダイビングなのでこういうのはあまり変わらない気がするが)。

スカイダイビングそのものを一生やらずとも損する範囲は限られているが、それも含め今まで考えもしなかったようなことを「一緒にやろうよ」と誘ってくる仲間に恵まれた環境は人生にどれだけあるだろうか。学業に関しても課外活動、就活に関しても、リミットを越えるほど貪欲に行かないとやはりここは嘘だろう。

と、気持ちを新たにしたところで、必修科目のクラス分けが決まった(Oceanという)。私は、Indian Oceanで、その日の活動はほとんどすべてこのグループで行われた。相変わらず多彩なメンツ。MIT Sloanの特徴としてよく言われることだけれど、ほんとみんな優しいキャラなんだよな。Dukeとは大違いで(笑)。必修科目を一緒に乗り切る仲間のCore Teamも決まったんだが、彼らについては明日のチーム活動後に報告したい。

さて、前後するが、猫の話。日曜に結局シェルター戻って、なんと2匹ペアをもらってきてしまった。親子でも兄弟でもなく、シェルターでたまたま仲良くなって離したら死ぬ!ってレベルになったため、「一緒にもらってあげなきゃ一匹もあげません」とセット販売されていた、このペアを。

大きい1歳猫♀の方は、長毛で優雅。結構な美人さん。Echoと名づけました。

Echo

まだ4ヶ月という子猫♀の方は、アメショがちょっと入ってんのかな?ボブで灰虎で、ちょっと小憎らしいけど愛らしい。Shadowと名づけました。

Shadow

お迎え2日目にして私のベットで並んでおねんね…そろそろ寝るから返してね。

おねんね

最後の課題レス土曜日


来週月曜から、朝8時ー夜7時までぎっちり拘束されるオリエンテーション週間が始まる。その後は、ほんとにもう、ひたすらMBAぽい生活が続くのだろう。そんな日々が始まらないうちに猫の問題を処理しようとシェルターを訪れるが、たまたま成猫(1歳以上)は無料!というキャンペーンをやっていた日だったので人大杉。

かるーーーく見物して感触をつかむつもりが、ものすごくフレンドリーでものすごくかわいい1歳半の猫(写真参照)と出会ってしまい、一目惚れ状態になったのに、月曜日に取りに来いという。月曜はオリエンテーションでグロッキーになっているはずな上にシェルターは遠いのでまず無理だといったら、それなら猫はあげられない、と突っぱねられた。あまりに柔軟性に欠けるのではないかと交渉を試みたのだが、なしのつぶて。

私は早々に諦めた。米国での動物愛護系の人々は、相当筋金入りのタイプが多い。ここはまだプラクティカルな方だが、猫一匹引き取るために、担当者との面接とか家庭訪問(しかもほとんど難癖に近い形で家庭訪問の末、引き取りを断られることも)を設けているところや、役所並みに書類提出を必要とするシェルターもある。こういった傾向をあまり快く思わない人も多く、お悩み相談で有名な某米コラムニストが「こういったシェルターの厳重すぎる態度はペットを望む温かい家庭をシェルターから遠ざけ、ブリーダーに押しやる原因になっている(注:米ではペットショップは鳴りを潜め、犬猫はシェルターからもらってくるか責任あるブリーダーから購入するかのほとんど二択状態。」と指摘して論争(といっても小規模な)を巻き起こしていた。猫好きな友達は「これでは人間の子供を養子に迎えるのより難しいではないか。一部のシェルター勤めのおばさんたちは、猫の保護を自分自身の虚しさに投影し感情のはけ口にしている。馬鹿馬鹿しいことこの上ない」と怒っていた。だが、そういう一部の情熱的な人々の寄付や努力で、本来ならいつまでも売れ残る成猫が飛ぶように温かい家庭(たぶん)に吸い込まれて行っている事実もある。

米では、喉から発する音量を大にした情熱的な人たちがいろんなところで身近なものを変化させている。いじめ自殺の発生に怒り狂ったPTAが州レベルでとことんアンチいじめ仕様に法律を変えたり、そんな規模でなくても公立学校のカリキュラムを追加したり、もっとささやかなものだと校内の自販機をダイエットコーラだらけにしたり。それを「声がデカイもん勝ちだよね馬鹿だよね」というのは易いが、別の見方をすればそれは「正しいと思ったことを声に出す勇気さえあれば、色んなことがなんとかなる事実」でもあり、そんな社会はどっかやはり他にはない活気がある。

なんかいろいろ伏線を張ったつもりなんだが、回収できるだろうか・・・。