Core Teamの憂鬱② 初ケースの試練

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Core Teamの憂鬱② 初ケースの試練all over the place


怒涛の一週間が過ぎ、初めてのガチなチームでお勉強イベントも経験。面白いことになりそうなので書き留めておく。

ここで改めてチームメンバーの紹介をしよう。

キム氏― 前にここで書いたMIT学部卒の韓国系アメリカ人の兄さんのこと。別にキム氏と呼んでいるわけではなく、苗字がありふれているから特定防止用。PEで「あと一歩でシニアレベル」という、大抵の人がMBAの3年後とかに目指しているキャリアについており、就活などでがつがつしておらず、「むしろ俺面接とか超得意だから助けてあげるよ」的スタンス。チーム内のムードメーカー隊員1号。アクティブで車の改造とか自転車の改造とかスカイダイビングとかが趣味。よく喋るが、エクセル担当でもある。30代前半。

ジョニー氏― こっちはジョニーと呼んでいるんだがアメリカ人はファーストネームの方がありふれているのでいいかなと。キム氏と同じようにPEでいいとこまで行った御仁だが、キム氏のようにガチ理系でいろいろすっ飛ばして来たのではなく、学部卒から3年くらい投資銀行やってPEに行っている、金融キャリアとしては王道を進んでるタイプ。こちらも30代前半。こういうキャリアなのに謙虚で優しい(偏見かな?)。当然のようにエクセル担当。

ジーコ氏― 同じくここで書いたブラジル人兄さん。「俺、英語下手だから」が口癖なのにすごく聞き取りやすい。彼については特定されても構わないらしいのでそのまま。

私「君らのこと、ブログに書いてイイ?」
ジーコ「当然じゃないか!おれたちブラザーだろ!」(←本当に言ったw)

チーム内ムードメーカー隊長。ガチムチでいつもジムに行っているらしい。ウォルマートのブラジル社でマネジャーを経験。「アホみたいに見た目だけ綺麗なパワポ作成」が得意と自分で言っていたので心強い。中国で買った送風効率が通常の3倍(当社比)な扇子を扇いでいたら「やべー、こえー!一晴ってキタナだったんだ!」と大騒ぎしていたので、実はヲタなんじゃないか疑惑も。たぶん28歳とか。

これがキタナ

ルーク氏― スターウォーズが流行った時期に生まれたせいでこの名前になったらしい。昨日、ここで書いたすごい人。その経歴からか、飄々としたところがあり、例えばチーム内でかなり議論が白熱してても、隣でどこ吹く風、と一人で何か分析している。でも、口を開けばたいてい誰も考えてなかった視点から説得力のあるサジェスチョンをしてくれるので、皆黙って聞く。

メンハズちゃん― 南アジア出身の女の子。コーポレートバンキング出身。25歳の人妻で、ものすごく可愛い。MBAに来るまではアメリカに来たことがないのに、英語がかなり上手。上手、というのはもちろん南アジア系のアクセントが満載だけれども語彙もフレーズも扱いが自由自在という意味。完璧主義者の優等生気質で、どこか昔の学級委員を思わせるところがある。実際本国では学級委員だったんじゃないか疑惑。今度聞いてみよう。

ジェーン女史― 口も手も早いP&G出身の姉御肌女性。今度のディスカッションにはプログラムが微妙に違うため不参加。

で、このメンツでDMDの航空会社のケースをやったんだが、とある大手航空会社の旅客機の大事な部品が毀れ、なんとかして取り寄せるまでフライトをキャンセルしたりクーポン渡したりいろいろせねばならない!どうしよう!意思決定のロジックツリーを作れ!という話である。この、「部品を取り寄せる過程のコストと時間の最小化」と「飛行機が動かない間のコストの最小化」は、たくさんたくさん与えられた情報に惑わされがちだが、最初は独立事項として扱わないと話が進まないと気づき、もちろん意思決定そのものには後者が重要な意味を持つが、選択肢には絡まないので、とりあえず前者が意思決定の8割だからそれを片付けようぜ、私が提案したら皆同意したので、意思決定部分の整理は早い段階でついた。

だが、そこでサクサク進むと思ったら甘かった。「色々あるけど大雑把に切り分けてだんだん正確にしていこう」みたいなアプローチが、メンハズちゃんの優等生気質などに火をつけたらしい。頭の回転も速く早口かつ声も大きいので、重箱の隅っこをつっついてチーム内の誰かと議論になることを繰り返し、30分。たぶん、色々ヒートアップしたのだろう、チームの最初の話し合いで「誰かが喋っている時は遮らずに訊こう」と約束したんだが半分無視してとりあえず喋る。

半分、というのは誰かが「いや、ここはこうだからこうだよね」と言った時、「だよね」の部分にかぶせて「その通り!私もそう思ってたんです!なので〇〇が…」とものすごい気が早い相槌を打って光の速さで発言権を奪うから。いや、同意する時くらいは静かに同意しようぜ、と突っ込む気力も虚しく話の主導権をまた握られそうになったその時、二人でコスト計算をしようということになった。空席を挟んで隣に座っていた私に向かって、

「一晴、Come here! We will do the calculations!」

と言われさすがにカチンと来て、思わず英語部時代の男声を使って、言ってしまった。

「No, YOU come here.」

直後、全員が固まる。「ちょ、一晴こえーよ(笑)」と最速でネタに持っていくジーコとキム氏。私は直後に破顔して付け加えた。

「いや、ジョークに決まってんじゃん。これはうちの猫の真似でさ、私がcome here!って手招きすると、絶対 You come here!って顔で素知らぬ振りをしてくつろぐからさ。メンハズちゃんが可愛いのでうちの猫を思い出してしまい、Come hereって言われた途端に反射的にそのフレーズが出てきた。ごめんごめん」

フォローになってない気がするが、私は変人キャラなので一応みんな笑って流してくれ、彼女も少しは静かになった。

しかしそれもつかの間、遅れてやってきたルークがひたすら集中してやっていた作業から顔を上げたので、こちらもwktk!となってリスニングモードに。

ルーク「これは、ケースの解釈の仕方次第ではキャンセルされたフライトのRe-bookingコストをほとんどゼロにできると僕は思う。ここの記載の表現では、全部で自社飛行機が四機あると解釈してもいいよね。自社飛行機の空席に載せる分にはこちらは一銭もかからないわけだし。あと、ビジネスクラスの客は急いでいる限り別にエコノミーに乗らせても構わないと思うんだけど。僕も何度もそれやったし」

私&ジーコ「うわ、それは新しい。ケースの学問的意義からだいぶそれてるけど敢えてそう解釈するのもありかもね。さすがに四機あるて解釈するのは無理があるけれど、後者はなんとかなるかも」

ルーク「でもこれこそが、誰もが見落とす活路かもしれないよ?とりあえず僕は、コストと仕事量を最低限にするか、そもそも抹消できる解釈を選ぶ」

メンハズ「いやでもそれだとこのケースの意義として間違ってるでしょ!減点されちゃうと思う!」

ルーク「本当にそうかな?このファクトとこのデータが明示されている限り、そういうことにはならないと思う。ケースの意義も議論の余地があるし、そもそも主観的なものだから。ここはエクゼクティブの立場から最善の選択をすることが重要なのではないかな?」

メンハズ「そうかな…」

ルークすごい。これからは彼女の相手は任せたぞ。議論が白熱した割りにはケースの整理はなんとか形になり、あとは細部を詰めるだけという段階になって解散した。

その後、解散したあとでたまたま教室にジーコとルークと残っていたんだが、ルークが意外にもぽろりと、

「ねえ、さっき僕はメンハズちゃんに対して言い過ぎたかなと反省しているんだがどう思う?ああいう感じで来られると、こっちもヒートアップした気がしてさ」

私「いや私よりはだいぶマシだろう。(ここで猫ネタをルークに説明。ルーク大爆笑)でも、本音を言うと、彼女以外の誰かに同じ事を言われても、You come here!とは言わなかったと思う」

ルーク&ジーコ「まじか」

私「いや、彼女のことは普通に好きだが、ああいうスタイルを続けられると条件反射的におちょくりたくなる。昔から個人主義者なため、学級委員タイプは苦手でして、できれば彼女にはあのモードになってほしくない」

ルーク「それもあるかもしれないけれど、僕の妻がインド人だからここは身にしみてるんだけれどさ、南アジアあたりの文化では、基本的に『Thank you』と『Please』と言う習慣がない。気持ちというよりは、言葉にしない文化だから、理解しているのとしていないのでは、だいぶ対応が違うと思うよ」

私&ジーコ「なるほどそれは勉強になる」

実際のところ、多人種多文化多業種で構成されたチームで面倒な問題に取り組むこと自体のすべての要素がものすごい勉強の連続である。メンハズちゃんとはチームワーク上ではこれからも色々発生することが考えられる以上、他以上に気を使って相互理解を深めておく必要があるだろう。今のところ、個人的になるべく仲良くなって遠慮無くものが言える雰囲気に持って行きたいと思っている。

その後ジーコにこっそり「You come here」の瞬間はスカッとした、これからもずっとネタにするつもりだと言われた。

ジーコ「ていうか一晴ってあれ、俺と違ってジョーク言う時は基本、目も顔も笑ってないよね(英語ではそういうのをdead punと言う)。昔の子供のアニメでBilly and Mandyというのがあるんだが、それのMandyに口調とスタイルが似てる!最高!これからも一緒にダークユーモアでチームを盛り上げようぜ!」

ちなみに、Mandyはこの子。見た目はだいぶ違うが、Youtubeなどで見てみると、たしかによく練られたサーカスティックなことをいつも言っていて楽しいキャラである。

Mandy

ちょっと嬉しかった。

追記:うちのチームのように全部対面+話し合いで問題解決しようとするグループだけでなく、個人ワーク+メールだけでサクサク仕上げてるところも多く見受けられるのでうちのが効率悪い気がしてきた…が!全員が間違いなく内容についていっていることを確認するにはいい方法だと個人的には思っている。

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