米名門大学へ進学したいけれど情報がない高校生と白川寧々の対談 試験編

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米名門大学へ進学したいけれど情報がない高校生と白川寧々の対談 試験編all over the place


私のことをご存知の方はもう聞き飽きている頃でしょうが、私は優秀な高校生の米国大学進学を大いに推奨しております。そんな私がネイティブ脳を開いていると、よく聞こえてくるのは、

「興味はすごくあるけれど、『何を知らないか知らない』状態で、どうしたらいいかわからない」

という、全国の悩める高校生の声。
確かに、帰国子女でもなく高校まで日本の現地校で学んできた学生たちは、いくら優秀でも情報が入ってこないことが珍しくない。そんな悩める高校生の一人である、横浜市の名門進学校に通うアキラ君が勇敢にも質問をぶつけてきたので、全国の情報過少に苦しむ高校生のために、【米名門大学ストレート進学 疑問丸ごと対談 試験編】を書いてみました。
「どうしていいかわかんない」
とか思っている学生や親御さん、必見です。
(以下、対談)

アキラ君:寧々さん!今日はさっそく、アメリカの良い大学に進学するのに必要な試験と、その試験の仕組みや課される教科、必要な点数を教えて下さい。

寧々:ふーん、やっぱり日本の学生だけあって、試験が気になるか…。

アキラ君: え、駄目ですか?そりゃ大学入試だから、大事じゃないんですか?(汗)

寧々:大事じゃないとはもちろん言わない。が、アメリカの名門大学の合否は試験だけじゃ決まらないのよ、そもそも。一般的に、共通試験、学校の成績、課外活動、の三本柱が大事だって覚えておいてね、まず。

アキラ君:は、はい。じゃ1/3くらいの割合で重要なんですね!

寧々:うーぬ、厳密には違うけれど、ここはまず「足切り」くらいに考えて先に進もうか。
アメリカの大学入学審査を受けるには、いくつかの世界共通試験の点数が要求されます。
学校によって、要求されない試験とかもあったりするけど、君はもし機会があればハーバードとかも視野に入れてるタイプだよね?

アキラ君:えーと、僕じゃ自信ないですけど…。

寧々:謙虚さは一文の得にもならんぞ。興味あるなら素直に言えい。

アキラ君:はい!ハーバードに興味あります!

寧々:よしよし。視野に入れる勇気がなきゃそれこそ永遠に届かないもんな。
さて、ハーバードや多くの有名大学は、日本を含む海外から受験する学生に以下の試験の点数を要求している。
1. TOEFL 
2. SAT またはACT
3. SAT II を2科目

アキラ君:TOEFLは知ってます!ほかは…最近たまに見かける字面ですね。

寧々:まず慌てずにTOEFLからいこう。これは最近日本でも注目されてきてるよね(やっと)。英語圏で高校を出ていない人は全員要求される、非常にアカデミックな英語の試験です。英語の四技能(読む聴く書く話す)がすべて、時には同時に要求され、英語圏のアカデミックな環境で活躍できるか?ということをシビアに測られるキツめの試験で、日本の従来の英語教育の枠組みでどんなに英語が得意でもまず太刀打ちできません。

アキラ君:最初からキツイっすね…自信なくしてきた。

寧々:でも、簡単だよ。

アキラ君:え?そうなんですか?

寧々:うん。この「簡単」ってのには2つの意味がある。1番目の意味としては、TOEFLが課されるのは英語を母語としない学生だけだが、次に羅列されているSATやACTはアメリカ人の学生もひいこら言いながら受ける試験で、それと比べたら大いに簡単だってこと。

アキラ:ひぃぃぃー!

寧々:2番目の意味はね…アキラ君、君は日本の同年代の中でも優秀なほうだと自覚しているだろう?

アキラ君:当然僕より優秀なのはたくさんいますけれど、全国模試でも100~200番台に入ったりするし、進学校の校内の順位でも学年で30番を割ったことはないので、悪くない方だと思います。

寧々:よく言った。2番目の「簡単」ってのは、それくらい優秀な子なら、自分を信じて正しく頑張れば、割とすぐ結果が出せる試験だってことだ。今日本人の高校生にとってこれが難しいのは、学校で教えている内容が勝手に低レベルに設定されているからであって、能力がないからではない。

アキラ君:じゃあ、頑張れば僕でもすぐにTOEFL iBTで100点取れますか?

寧々:すぐに、かどうかは頑張り方次第だけど、だいたい3ヶ月くらい集中してやれば出来るよ。ただ、TOEFLは有名大学で活躍するための第一関門に過ぎないからな。満点取ろうが何しようが、アメリカではそれだけじゃ苦労することも覚えておこう(私がそうだったし)

アキラ君:寧々さん、ほぼ満点だったのに苦労したんですよね。

寧々:そういうこと。それはいいや。まず、ランキングで大学を語るのは好かないけれど便宜上仕方ないのでランキングを使うと、USNews Best College Rankingで上位30番くらいの大学はほぼTOEFLで100点を足切りにしてくる可能性があるから、行ってから苦労しないためにも足切りされないためにも、最低100点は取ろう。そして、別に120点取ったって有利にはならないのでそこでやめよう。

アキラ君:了解です。でも、TOEFLはただの第一関門なんですよね?他にもSATとかACTとか必要だと…

寧々:そうそう。TOEFL終わってからが大変なのよ。SATもACTも、アメリカの大学入学適性試験で、TOEFLと同じく「登録してお金払って試験センターで試験受けて一番良い点数を提出する」形式ね。

アキラ君:日本の受験みたいに一発勝負じゃなくて、たくさんチャンスがあるのがいいですね!

寧々:そうやって油断すると、試験ばっかり受ける蟻地獄にハマるから気をつけな。

アキラ君:…はい、すんません。

寧々:いや、マジでお金も精神力も消耗するから少ない回数で終わりにする!って気概が大事だってことさ。
さて、まずSATとACTについて解説しよう。
SATもACTも、大学適性試験というだけあって、日本の大学入試みたいに科目の知識というよりは計数、論理的思考、頭の回転、読解力、文章力など基本的な能力を問われる。IQテストみたい、と誰かが言っていた気がするけど当たらずとも遠からずだな。
まずSATはVerbalとMathの2科目しかない(2016年からWritingがオプショナルになった)。

アキラ君:国語と算数ですかね?

寧々:ずばり、そういうことだ。まず、何も聞かずにMath(数学)の問題を見てみよう。

アキラ君:なにこれ、たまに英語の単語わからないですけど、楽勝じゃないっすか!小学生の問題みたい。

寧々:だから言ったろ。日本の学生は世界的に見ても優秀なんだって。はい、Mathはクリアね。英語の単語はちゃんと覚えようね。ちょっと自信ついた?

アキラ君:はい!(にやにや)

寧々:ニヤニヤしている暇があったら、Verbalを見てみよう。

アキラ君:…げ、単語が全くわかりません…。TOEFLとかと比べても鬼じゃないですかこれ?

寧々:その通り。SATのVerbalは必要とされる単語の量が半端ないのである。高校2年生からTOEFLを始めてひいこら言っているようでは半分も解き終わらないだろう。例えて言うなら、日本の大学入試の2次試験の現代文ほど難しい。文章のレベルもTOEFLと違って優しくないし。
けど、忘れないで欲しいのは、これはアメリカ人だってひいこら言いながら受けている試験だということよ。日本人らしさアピール(?)でMathを満点にして、Verbalはまあ…なんとか恥ずかしくない点数を取れば希望はあるわよ。
ハーバードだって、SATの点数が高い順に合格にするわけじゃないし。

アキラ君:恥ずかしくない点数って、どれくらいなんでしょうか?

寧々:VerbalもMathも800点満点で合計1600点なんだけど、Mathが800点なのは前提として、Verbalは…滅多なこと言えないけど、550点―600点くらい取れればいいかな?あくまで足切りだから、本当に滅多なことは言えないけれど、合計で1300-1400点台があれば米国内では「そこそこ優秀な子」と認識されるわけよ。1500点台なら、トップスクール候補、みたいな。
いくら点数が必要か私がやたら口ごもる理由は、ハーバードとか名門大学が、毎年SAT満点者をこんなに不合格にしてやったぜ!みたいなことをやたら自慢するから。
かといって、Verbal400点台では授業に付いていけるかが心配。なので、一応550点とか言っておくね。
夫はSATもACTも満点だったのにプリンストン不合格で悔しがってたわ。

アキラ君:本当に、点数では決まらないんですね。

寧々:最初に言ったようにね。さて、ACTを忘れていたわ。ACTは、Reading, English, Math, Scienceの4科目があって、SATのVerbalに当たる部分はReadingね。Englishは文法で、暗記して問題解けば日本人は案外負けないとこ。MathはSATより難しいけど日本人には楽勝。Scienceも知識じゃなくて科学的思考みたいなのが問われるから、TOEFLのReadingみたいなノリかな?

アキラ君:このReading、文章がたくさんあって制限時間きつそうだけど、単語が結構マシですね。

寧々:そうなのよ。そして、SATでは難しい単語がたくさん出るVerbalが配点の半分なのに対し、ACTでは1/4くらいに減る。読むスピードとか解答力とか読解力は問われるけど、一般的に英語を母語としない子にはACTのほうがお勧め出来るかも。

アキラ君:僕もそのほうがイケそうな気がします。これも800点満点ですか?

寧々:いや、これがなんと36点満点なのよ(笑)。

アキラ君:だいぶ目減りしましたね…。

寧々:ね、紛らわしいよね。100点にすればいいのに。これも、目指すところは30点台だけど、26点程度でSATの1300点台とみなされるらしい。以上で、2番目の試験の解説終了。

アキラ君:次はSAT II…またSATですか?

寧々:次は結構楽勝よ。SATとACTでヤマ越えたと思って頂戴。

アキラ君:え、ただでさえSAT大変なのに、SAT IIってもっと最強そうなんですけど!

寧々:気持ちはわかるが落ち着きたまえ。SAT IIはIQテストじゃなくて科目テストなのよ。そもそも要求してくる大学がトップ校に限るんだけど、日本人はSATのVerbalの点数が低いからこれで高得点取って、「私勉强できるよ!」アピールするのがお勧め。

アキラ君:僕でも高得点取れるんですか?

寧々:受ける科目を間違えなければね。一般的に、2つの科目テストが要求されるけど、日本人はMath I, Math II, Chemistry, Physics, Biology, World Historyから好きなのを2つ選べばOK。

アキラ君:え、Mathを2つ選んでもいいんですか?

寧々:ダメだって言ってくる学校もあるから、生物、化学、物理の中からひとつ選ぼう。世界史は覚えるタームが多くて難しいけど人によっては理科よりいいかもしれない。

アキラ君:おや、数学が三角関数とか入って専門的になったけど、やっぱし日本に比べれば簡単ですね。物理も化学も生物も、理系で国立とか受ける予定なら、専門用語さえ覚えれば楽勝だわ、これ。

寧々:だしょー。私も生物で受けたけど、既に持っている知識を英語に置き換えるだけで、ひねった問題は何一つ出ないから難しくないよ。はい、SAT IIは解決でOK?

アキラ君:OKです!でもこれ、やっぱり山積みになると大変そうなんですけど、いつくらいからどれくらい勉强したらいいんでしょうか?やっぱり塾とか行くべきですか?

寧々:目安としては、高2の終わり(3月)までにTOEFL100点取得を目指そう。それからが大変だから。けれど、万が一TOEFLのスコアが足りない場合、高3時点で、えいやっとSAT IIに移行すること。英語で何かを学ぶという感覚を得られるし、イイ点数を取れたら自信もつく。それからACTかSATをやって、最後にTOEFLに戻れば楽勝…というのは私が辿ったルートだけど…。

アキラ君:それで満点近くとれたんですね…。

寧々:けど、TOEFLはスピーキングなどもあるのでそこまで放置しないほうがいい人もいる。全体的にいうと、SAT IIとTOEFLを夏の終わりまでにクリアすれば十分余裕が出来るよ。

アキラ君:クリア出来なかったら間に合わないんですか?

寧々:そんなことはないけど、本来頑張るべき方向性(エッセイや課外活動や学校調べ)などに集中できずに地獄を見ることになるから、なるべく夏までに試験はおしまいにしよう。

アキラ君:あくまでも試験で良い点数を取るのは合格の必要条件だけど十分条件じゃないんですね。

寧々:懐かしいタームを使うな。実にそういうことだ。あ、塾だけど、今の日本のアメリカ大学受験産業はまだ黎明期だから、行くなとは言わないけれど、なんかお金取って終わりみたいなとこも多いかな。10年前はそれこそトフルゼミナールとか老舗を除けば詐欺っぽいところだけだった。それより、いくつかあるアメリカ発のオンライン講座の受講をお勧めする。$29ドルくらいで、練習問題と、アメリカ人プロ教師の講義ビデオ(この道ン十年みたいなベテランの)と、自分の苦手なところなどが見える化されるソフトウェアとかが手に入るし。

アキラ君:それはだいぶ安いな。この前みた塾って年100万くらいかかるのに…。

寧々:ぶっちゃけた話、試験一発勝負の日本国内受験の感覚でアメリカ名門大学を受験するのはちょっと違うんだよな。そういうコストがかかる塾の付加価値って、今私が君に語っていることとか、ようは普通の日本人がほとんど知らないアメリカ名門大学受験の内情を把握した上で個々人にあった対策をすること、とかだと思うし、実際ハーバードクラスの大学が欲しい人材って、最低限の情報さえあれば、そういうことが自力でやれるタイプの人間だと勝手に私は思っている。
なので、これを読んでいる、「我こそは塾なんぞに金を落とさず自力でやるぞ!」と思う骨気のある高校生は私にメッセージ下さい。

アキラ君:寧々さんはネイティブ脳の延長で塾とか開かないんですか?

寧々:もちろん、開くことも視野に入れているよ!けど、それは日本の大学の受験予備校みたいなのではなく、もっと総合的な、要するに情報を与えて勉强の仕方を教えて、受講生がお互いに刺激しあって自助努力を促し、最終的には世界で活躍できる子が巣立つようなコミュニティをイメージしてるかな。もちろん日本に永住するつもりはないのでオンラインで。

アキラ君:それ、すごく楽しそうですけど、寧々さんは日本に帰ってこないのかあ(悲しそうな顔)

寧々:も、もちろん3ヶ月に1回くらいは帰ってくるし、いつでもオンラインで話しかけてもいいからな!

アキラ君:(( ̄― ̄)ニヤリ それにしても、今日はありがとうございました!試験の仕組みがだいぶわかってきました!なんか寧々さんのような方のバックアップがあれば、日本生まれ日本育ちの僕がハーバードクラスの米大学に進学するのも夢じゃないような気が…これって自信過剰ですかね?

寧々:全然そんなことないよ!むしろ、成功実例はたくさんあるし、優秀な日本の中高生が米名門大学を目指すのは、どんどん普通の選択肢になりつつある。なんていうか、次の回の大学選びのあたりで解説するけど、ハーバード大学自体は海外生が殺到して合格率5%を切っていて正直「こうすれば受かる」なんて誰も堂々とは言えない状況だかれども、「ハーバードクラス」の大学ならば、全然問題はない。ドメドメの君みたいな子にこそ、挑戦してほしいと思っている。

具体的に勉強法を教えて欲しいよ!というやる気と勇気のある方はFacebookで私にメッセージ下さい。

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