そろそろ結婚準備の準備の準備のブレストくらいをおっかなびっくりスタートさせようとしてるんだけど、約半年後に式を挙げる予定の偏食王兄貴カップルの忙殺されぶりをみると恐ろしくて仕方ない。
なにしろ、日本のようにホテルオー○ラのテンプレお任せプランとかは一般的でなく、式場、宗教家(牧師神父またはラビ)、花屋、料理屋、ドレス、音楽のバンド、全部バラバラに自分でオーダーしなければならず、彼らサービスプロバイダーを管理するのもカップル自身の役目なので大変さがなんとなくお分かりだろうか。もちろん、ドレスはサービスプロバイダーではないが、レンタルではなく数千ドルの相場でオーダーメイドするのが一般的である。あと、「ご祝儀」という習慣はなく、かわりにレジストリといって新居のための「ほしい物リスト」をネットで公開し、結婚式参加者(欠席者でも)が自らの予算と照らしあわせてリストの中からプレゼントを選ぶというものすごい合理的なギフティング習慣がある。たいていはワイングラスとか皿とかシーツとかル・クルーゼの鍋とかそういうやつである。ちなみにプレゼントは式途中で開けるセレモニーがあったりなかったりするらしい。
私もここらへんの常識はHow I met your motherというドラマに複数出てくる「結婚式準備に追われて発狂する花嫁」を通して学んだんだが、所詮ドラマ、実際のところは誇張だろ!と高をくくっていたところ実はそうでもなかったんではなかろうかと兄貴カップルを見て気づき、ちょっと今更ながらガクガクブルブルしている次第。ドラマに出てくる花嫁さんたちは、「パーフェクトな結婚式が小さい頃からの夢だったのよお!」と些細なトラブルも許さず(例:料理が5分遅れるとか、フラワーガールが失敗するとか)事あるごとに発狂するのがお約束になってるんだが、私は幼い頃からそういうファンシーなものに興味が薄く(共産圏ファミリーだったのでw)、
「んなアフォな。結婚ちゅうもんの本来の意義は式以後の長い長い人生の方じゃろが」
なんてスカしていたんだが、同じようなスタンスの偏食王兄貴カップルでさえ、「頭ではわかってるけど作業量が多すぎてマジそうも言ってられない状態」になっているのを間近で見て、「これはスカしてなどいる場合ではないかもしれない」と思い直し、よく考えてみたらこの異国で人の結婚式にも参加したこと無いしもちろん身内も経験などないし(一人っ子+唯一のいとこが14歳)、親も頼れないし(英語が出来ない+時代文化が違いすぎる)、偏食王は何でものらりくらりでもっと頼れないし(仲の良い友達は皆未婚だし基本無頓着だし)、ここは本気で偏食王の両親にすがるしかなさげなんだけど発狂するよりはマシだろうか。馬鹿にしてごめんよ、発狂花嫁。
あと、言い忘れてたけど宗教家。真ん中で「病めるときも健やかなる時も~誓いますか?」とかのくだりを言う人。
日本ではあのおっさんはただの飾りと役者でしかないけれど(本気で宗教的な人を除けば)、米では本当に真ん中のあの人が「あなたがたが夫婦となることを宣言します」って言った瞬間に法的に婚姻成立する瞬間でもあり、それを言うにもライセンスが必要であり(宗教家か公務員の一種である必要がるらしい。うろ覚えだけど)、よって人選も大事である。
久々に宗教の話になるが、偏食王の父方の伯父さんに当たる人が米では高名な引退ラビで、前々から偏食王も「僕を結婚させてくれる人は伯父さんだと思う」と言っていた。この伯父さん、御年70を回るのに世界を飛び回りイスラエルと米国各所に拠点を持ち、話しているととても「ジェネレーションの違うおじいちゃん」という感じではなくむしろ「MITで出会いそうな教養深い友達」みたいなノリで付き合える素敵な御仁なのでこちらとしてもぜひともお願いしたいところなんだが、偏食王兄貴の結婚の段階で、
「そういや嫁予定がユダヤ人じゃないよね?面倒だけど、一応ユダヤ教の授業をネットで取ってくれないかな。あ、二人ともね」
というセンシティブな提案を。そう、兄貴の婚約者さんも厳密にはユダヤ人ではない。伯父さんは引退ラビの立場上、身内とはいえ「宗教的に全くのアウトサイダー」の式を挙げるのも葛藤があり、ついでに兄貴(これは偏食王もだけど)というか偏食王ファミリーの割りと世俗的な、つまりユダヤ人ぽくないライフスタイルと限られた知識もちょっとひっかかってこんな提案。私のほうが聖典の中身に詳しいくらいだから仕方ない。しかし、兄貴さんは超多忙な週80時間労働の金融弁護士で、とてもそんな時間がないと悩んでいた。ちなみに女性のほうが簡単とはいえ改宗するなら1年くらいかかってしまうのがユダヤ教の特徴だ。
それはそうと、うちらはどうしたらいいんだろう。
というのが目下の悩みとも言い切れない悩みなんだが、知識だけなら私のほうが本物のユダヤ人の偏食王よりはあって、「授業免除のための試験してほしいくらい」と冗談を言い合っている状態。兄貴や偏食王の「アイデンティティは強いけど宗教的知識はそんなにないし改革派ゆえ制限も特に課していない、アメリカでは典型的なベーコン大好きユダヤ人」ステータスと結婚するだけのために、私や義姉(予定)などに勉強させるのも阿呆らしいわ!という非常に微妙なラインの葛藤をどう片付けるのかが、今後数ヶ月見所になる。兄貴夫婦がどういう決定をしようと、それが「前例」になることには変わりない。
嗚呼、就職もインターンも来期の授業も結婚予定日も新居予定地も結婚形式も何もかも未定な新年のはじまり、はじまりでございます。
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