Monthly Archives: 2月, 2013

憎しみから始まる社会起業のススメ

そう、愛からでも勇気からでも希望からでもなく。

現在取っている楽しい授業のひとつに、「社会起業のススメ」というプロジェクトベースのものがあるんだが、そこで私の米教育格差是正に営利企業のサービスモデルを持ち込みたいという案をピッチしたところ、意外と教授受けがよく、「これは有望なのでぜひ頑張ってやってみてほしい」とのこと。貧しいために(といっても明日の食事に困るような貧しさではたぶんない)かなり劣悪な学校教育環境から脱出できず、親も教育に関心があるのにオプションがない状態。劣悪な公立学校では生徒のほとんどが学年より2-3年学力で遅れを取っている状態。それも、本来の知力に関わらず。その格差を是正するためにKIPPやTFAが頑張っているけれど、明確なソリューションは提示できていない状態なのだ。

親からすれば、KIPPのようなチャータースクールは倍率が5-10倍の抽選をくぐり抜けなければ入れないし、私立は総じて年間200万円ほどするので全く払える見込みが無い。住む地域を変えるという選択肢も、貧しい都市生活者にありがちな、ギリギリの雇用状態では難しい。このまま子供を公立に入れたままにしても、最悪で卒業率が10%の高校に行かざるを得なくなり、良い教育を受け大学へ行く機会は絶望的となる。そして、所得格差が固定される。親がどんなに頑張っても、妙なプライシングと硬直した需要過多なシステムのせいで、全て徒労に終わる。

この腹立たしい状態にソリューションをとまあ、現在パートナー集めたり試行錯誤したりしているところなんだが、「カスタマーの定義とビジネスの理由が明確でいいね」とふとした拍子でクラスメイトのK氏に言われた。彼は私と違ってガチの起業経験者で、韓国エリートがアフリカビジネスマンに華麗に転身、現在進行形でナイジェリアにスタートアップ会社を持つ。K氏はというと、「事業に『社会のために』みたいなレッテルをつけたいんだが、どうも上手いこといかない。どうやら僕は発想が社会起業とか向いていないのかもしれないんだな」とぼやいていた。

「そんなことはないと思うが、とりあえず超そういうことに関心がある人と組んだら自然とその回路をビジネスに組み入れられるんじゃないのかな?」

「うん、同じ事を他のVCのやつらに何度か言われたんだけど、でも僕自身がそういう考え方を身につけたいんだよね。無理かな?」

「そうねえ」ちょっと考えて、私は気づいたのだ。「ああ、それはもしかして善意とか同情とか博愛とかの立場から出発してるからちょっと自分でもうそ臭く感じてるんじゃない?」

「そう!それなんだよ」とK氏。そこらへんぎこちないって自分でも思うんだよ」

「それは出発点がソフトすぎるからよ」私は今腑に落ちたばかりのことを口に出した。「私は例えば、教育事業を通して選択肢がない状態の親子をなんとかしたい。けれど、その出発点は決して綺麗な感情じゃない。私は、心の底からどす黒いレベルに理不尽な教員とか劣悪な教育が憎い。それこそ子供の頃からそういうのに煮え湯を飲まされたことが何度かあり、親が進学塾に入れてくれたから自由と素晴らしい中高時代が手に入ったけど、その選択肢がうちの両親になかったら、と思うと、公立の抑圧的なシステムに対する怒りや憎しみが今でもいくらでも湧いてくる。アメリカの親御さんの、この「選択肢がない」という絶望がありありと想像できる。だから、私を今駆り立てているのは自己犠牲精神なんぞではなく、純粋な怒りと憎しみと少々の破壊欲なのよ。

なので、K氏もさ、ちょっと今までの人生振り返ってみて、世の中の理不尽のせいであなたの中で最も強く印象に残った負の感情を掘り返したら、すごい社会起業のモチベにつながるかもよ?

と語ってしまったんだが、K氏はものすごく納得して帰っていった。ちょっと今夜自分の人生について考えてみる!と言い残しw

起業のモチベが夢や希望でなく、夢や希望が理不尽に破壊されていることに対する憎しみと破壊欲である、と定義するほうが、どうしても自分にはしっくりくる。とか考えているそばから、思わぬ方向から同じ考えを持つ人に出会ったり、起業を決めた途端から人生の動くペースが速くて楽しい。けど、今までのレール人生のぬるま湯のせいか、ちょっと心が付いて行くのにぜえぜえ状態なので、そこは調整剃る必要がありそうなのが、当面の課題。

頑張ります。

ブリザードも明けまして

旧正月と数十年ぶり規模の豪雪NEMOで盛り沢山な週末。

家の前がこのような状態なので↓実に48時間以上外に出られなかった。友達ともネットの上でしか会えず、仲のいい子の誕生日パーティにも参加できず。

が、ここで外に出られないよおおと鬱になるのも芸がない。ちょっと思い立って今朝、バスローブ、パジャマ、長靴姿で裏庭の階段から50センチくらい積もった雪をかき分けて、誰ひとり触れた形跡のない処女雪の上にダイブ。日差しは暖かく、空は深く青く、さらっさらの雪はそこらで売っている低反発マットレスより気持ちよくバスローブ一枚の私を包み込んだ。着衣露天雪風呂とでもいうべきこの状況、寒くはなくものすごく気持ちがいい。

放っておいたら寝てしまいそうなので、しばらく極楽を味わった後に立ち上がろうとしたのだが、これが思ったより大変。後先考えずにダイブしたのはまずかったか。もがきながら私の人型にくぼみができた雪の形を壊しつつなんとか立ち上がり、もときた道を這い登り、雪だらけで呆れ顔の猫たちに向かい入れられたのだが、気分は本当に久々に爽快であった。窓の外を見ると、私が残した人型のくぼみには、私のバスローブの格子模様がくっきり残っていて、これも爽快。

今年こそ、運動しよう。と、心に決めた旧暦新年。

でも、チキンなので、まずはヨガマットを買いに行くとこからはじめます。

授業開始。起業系の名授業を網羅する日々

アントレします宣言から約2週間。授業を選んだのはほぼ前学期の終わりなので、当然授業選びのロジックがぜんぜん違ってくる。

とりあえず、今学期取っている授業を一から教授の名台詞とともに紹介してみよう。

Social Enterprises and Innovation Andrew Wolk 教授
「これまでいくつかの社会起業をしてきたが、根源にあるものは、博愛主義で慈善家だった祖父のやり方と、ウォール街で25年辣腕を振るった父親のやり方の絶妙な融合を探そうってことだったんだ」

Global Economy and Development: China and India 黄亜生教授
「中国とインドの成長率の差は、インフラだと一般的に言われている。が、私の立場は違う。中国の成長の快進撃、真の立役者は、中華人民共和国建国から整備してきた社会資本にある。基本的教育と、女性の権利と、公衆衛生。この3つで、インドは中国に遅れを取った結果、現状があるに過ぎないのだ

How to Develop Breakthrough Products and Services Eric von Hippel 教授
「一番最初のプロトタイプは、いつもユーザー発である。企業はそれらを借りてきて改良し、大量生産しているに過ぎない。この授業ではイノベーションの民主化について扱いたい。あと、知的財産の存在も見直されるべきだと思う。あれ、ユーザーにとっては一文の得もない代物だから

Customer Analytics
「これから君たちがどんな職業についても、データの束を渡されて、分析しろ!と言われる可能性は高い。そこで真っ先に浮かぶのは回帰分析だろうが、客の動向とか選択を予測する時、回帰分析を用いるのは最も意味が無いのである。これからの1学期、人によっては地獄の苦しみかもしれないが、終わるまでには確実に顧客行動分析のエキスパートになっているのは保証する

New Enterprises
これはいっぱいあるのでいくつか。
「トーマス・エジソンは電球を発明し、各家庭の使用に耐えるモデルを創りだした。諸君がトーマス・エジソンなら、投資家にどう売りつける?
「テスラはトーマス・エジソンより頭がよく、彼よりいいものを発明したのに、誰にも顧みられず、不遇のまま没した。テスラは、発明家だけれどイノベーターではなかった。彼の失敗はこの授業を取っていなかったことだ!そう、この授業はMITからテスラを出さないための授業です。
「ベンチャーキャピタルに出資させるのを前提で起業するのを応援してるわけじゃないぞ。資金調達の画期的な方法を教えようか?『客にモノやサービスを売って金を得る』という方法だ!
「起業してからというもの、前職のIBMに戻って仕事する夢を見てうなされることがしばしば。すごく大変だけど、何者にも代えがたい喜びがある。そう、子供を育てるのに近い
「MIT発のアントレの成功率わかる?5%?10%?いや、MIT卒生が起こした会社の失敗率は20%だ。20%は大成功し、60%はまあまあやってけてるくらいかな」

ほかにもとってるけど、まだ開始していないのでここまで。

近況報告。そろそろ更新再開します。

1月中、ほぼまるごとさぼってしまった・・・。あっても結婚ネタか教育ネタばっかりだったしね。けど、これからは本気でMBA少しと教育ネタのオンパレードになる予定です。

さて、とりあえずいくつか報告します。

まず、コンサル就活から足を洗いました。
1月中、ほぼ予定調和的にコンサルティング就職の準備をしたり面接を受けてきたんだが、その間どうしてもやる気が出ない上、なぜか眠れず、なんなんだろと悩みながら適当にやり過ごしていたら、あっという間に通りすぎてしまった。もともと米インターンシップは狭き門なのは承知していたが、予想を上回る激戦の末「なんでここにいるんだっけ?」とぼおっとしてたら当然のごとく沈没したのが私も含め友達のマジョリティだったりするから恐ろしい。MBAに来たらとりあえずコンサル、みたいなレールが敷かれているに等しい空気があるにもかかわらず、実際はあの仕事に向くのはごく少数の人間でそれは実はやってみないとわからないので彼らはあんなに大々的なキャンペーンを敷いているのかも。そして、私みたく入学時には人生の目標が全く定まっていなかった人間や、興味分野は決まっているけれど経験不足をコンプレックスにしているMBA生をターゲットに、「とりあえずMBA来たからにはコンサルっしょ」とでも言うように誘い込み、各社どうしても欲しいタイプを 5 人 く ら い採用していく。

私はというと、このブログの11月くらいからのネタの偏りからも推察できるように興味分野のシフトが雪崩のように起こり、「偏食王の会社楽しそうだし、とりあえずコンサルやってみたいな。マイル貯まるしルームサービス頼み放題だし楽しそうだな(8月)」から「米に住み続けることを考えたら将来的には独立せんといかんかも。(10月)」から「うお、あれ、なんか教育熱がすごいな。教育事業に特化したコンサルとかいいかも。でもプロジェクト少ないんだよな(11月〉」から、「教育熱いぜ!・・・って、なんでコンサルやんなきゃいけないんだっけ?でも面接あるし一応やっとくか(12月)」と続いて、今ここで、

2月にもなって新年の目標ではないのだけれど、教育事業に頭から突っ込むことにしました。

手始めに、塾スタートアップをやろうと企画、仲間集めなどをしつつTFA出身の准義姉(偏食王の兄貴の婚約者。ひとりっこの私が26歳になって手に入れたお姉さま。義姉予定と毎回書くのは面倒なので偏食兄は准義兄、偏食兄嫁は准義姉と呼ぶことにする)の人脈で、前から注目してたNYCのKIPPを含むチャーター・スクールや改革者が頑張ってる学校を徹底取材。この前はひとりシリコンバレートレックをしてきたが、今度はひとりニューヨーク教育トレックである。