柄になく語ってみるリーダーシップ云々


ハロウィーンだというのに気分が乗らないのは、キャンパスを震撼させた訃報のせいだろうか。

リーダーシップについて語るのと聞くのと自分でやるのとでは、三千世界のごとき距離があると今更ながら思う。もうなんていうか、素人にとっての一輪車に近い。ナチュラルに2,3回で乗りこなせるバランス感覚の強者もいるだろうが、ほとんどの人間はセオリーをいくら聞いても語っても、サドルに乗ってペダル踏んですっ転んでを繰り返してComfortableになるのではないか。

というわけで、一晴はすっ転びっぱなしです。

今一番力を入れてやっているプロジェクトの主要メンバーをほとんど失いそうなのだ。個人的な問題ではなく、外的な要素に起因することが大きいのだが、立派なクライシスである。特にその中の何人かに主要な、私のスキルでは到底達し得ないことをやってもらう予定だっただけに、痛手は深い。外的な要因がほとんど、とは言ってみたものの、私自身にそれを予期することもどうにかすることもできない以上、責めるべきは自分自身しかない。思わず、

君不密、失臣

という言葉が頭をよぎった。決してマキャベリストな意味の君、ではなくても「私にできないことを代わりにやってもらう」っていう時点で私はリーダー=「君」の立場であり、見識も危機管理も計画性も甘かったゆえに、人を失ってしまいそう、とまさにどんぴしゃではないか。

ここで次に取るべき手は大雑把に三種類ある。

1. 持ちうる限りの交渉力を発揮してメンバーを取り戻す。これは外的な規制がある以上、少し難しい。

2. 第一線からは引くけれどもサポートは辞さないと言っている元メンバーをアドバイザー的位置において、その専門性をなんとか使い倒す。おそらく現実的な手段だと思う。

3. 新たにメンバーを募る。ただし、今度はできるだけ作業を細分化しLow commitmentで。

実は1-3全てやることになりそうだな。リストになってないw

ただ、ワンマンになることは避けたいんだよな。MBAの良さは、「短期的には一番効率がいいわけじゃなくても、『この経験をしてみたい』という理由で次のステップをリスクフリーに決められろところ」なんではないかと本気で思う今日この頃。

では、ちょっとコスして出かけてきます。

Sandy Stormが吹き荒れているというのに


クラスメイトは喜色満面。予定されていたDMDの試験が延期になってしまったからだ。よし!これで飲めるぞー!とヤケっぱちなコメントがFacebookを賑わせたが、「試験が終わって快感な日々」が2日ほど遅れるというネガティブ面には誰も目を向けないのな・・・。

そんなわけで、家でひとりで窓の外の嵐を眺めながら、オペレーションの課題図書であるThe Goalを読んでいる。

会計の試験が返ってきて、Aラインが90点くらいのところを無難に94点とかでCPAの名に恥じないくらいでいいかなと安堵していたんだが、アントレ志望のクラスメイトはB下限ラインの74点をちょこっと上回って喜んでいた。たぶん二時間くらいしか勉強しなかったんだろう彼は、

「それより、ナノテックのカンファレンスと100Kのが百倍大事だったんだもん」

なんて堂々としていたんだが、私もぶっちゃけそれくらいの度胸と覚悟が欲しい。

生きた英語の身につけ方は、なるなるグミの実に近い。


実はいま、MBAの同級生の日本人で、英語圏生活経験がない方たちのLIVEコミュ力上達対策委員会を勝手に立ち上げている。
私も7年前、日本国内でやれるだけのことをやったつもりで渡米したのに(TOEFLほぼ満点で、教会などでは英語で喋れる友だちもいたのに)、LIVEモードではどれだけ力不足か痛感しそれから意識的に鍛えた経験があるので、とても他人事とは思えないからだ。

英語力はあるのに、英語圏LIVEコミュ経験がない人の特徴は、こんな感じ。

① 授業や講演は、たまーに単語がわからない程度だがほぼ理解できている。
② なのに、クラスメイトやチームメイト同士の会話がわからない。
③ 笑いのツボはもっとわからない。だから、皆が笑ってるとこで取り残される。
④ こちらがジョークを言っても理解されない。
⑤ こちらが伝えたいことを、2,3回言い直さないとわかってもらえない。
⑥ なので、総合的に世間話が難しい。

これは、人によっては語学(リスニングスキルなど)の問題もあるだろうが、「アメリカ文化にフィットする」プロセスの欠落及び「アメリカ人がわかる英語へのKnowledge transfer」プロセスの不十分が招いたものだと今では理解できる。

私が知る限り、適切な教科書や教材は出版されていない。スラング辞典とかもあるが、MBAに来る元お坊ちゃんお嬢ちゃんの常識では口にしちゃいけないものも多々あるので、加減が難しい(だって、Fワードは酒が入ってるかよほどストレス溜まってるときになら言ってもいいけど、Bワードは「あの試験はBだ!」というコンテクストなら別にいつでも大丈夫とかいう感覚は教えてくれないし。しかもこういう感覚は個人の価値観で決めるべきなので正解もないし)。

では、そこを鍛えるにはどうしたらいいのでせう。

ひたすら、アメリカ文化のコンテクストに自ら身を投じるしかない。「アメリカに来たのに英語で悩んでいる」→「アメ人の恋人を作れば?」というアドバイスは無責任に見えて実はめちゃくちゃ的を射ている。嫌でもそういうコンテクストに日常的に組み入れられるからだ。私も大学時代はそこそこ頑張ったが、偏食王と出会ってからの気付きの量は凄まじかった。

だが、MBAのように大人同士の空間で毎日濃いやり取りをする時間はあまりない。皆、Spouseとかいるし。宿題も就活も忙しいし。MBAで年齢も高めでアメ人の恋人を作るわけにもいかず、という人はどうしたら、って話なんだが、意識的に以下のモデルを回してみたらいいと思う。個人的には、「なるなるグミの実モデル」と読んでいる。

なるなるグミの実って何なのかを説明する必要があったら申し訳ないんだが、日本国内で幼少期を過ごした者ならなんとなくわかる類の、チープな駄菓子である。私も実は動画を調べるまで勝手に「ねるねるねーるね」だと勘違いしていた。ネーミングなら後者の方がインパクトあるだけに、ちょっと残念である。

で、モデルのイメージはこんな感じ。非常に単純である。

① Input: グミの液体をつける段階。アメリカ文化の中で自分の生活圏階層に近いメディア作品を見まくる。自分の階層に近くないと意味が無いので、ここで警察医者弁護士スパイドラマ等はおすすめできない。面白いのはわかってるんだけど。「こういうコンテクストでは、こういうリアクションが出てくるのか」とか「ここが笑えるとこなのね」とか意識してみると収穫は多い。MBAの紳士たちに勧めているのは How I met your mother, Desperate housewives など。なるべく日常的なのがいいので、シットコム推奨。

② Output: 液体の粘度を利用して粉をつける段階。そこで覚えたノリを頭に入れつつ、同じリズムやフレーズを使ってクラスメイトと軽口を叩いてみる。或いは、自分が伝えたいことを、彼らのコンテクストに合わせて表現してみる(「君らの常識では○○だけど、日本ではこういう時はXXになったんだよ」みたいな)。日本語で語るのが好きな分野だけど英語では難しい、みたいな話題=Knowledge transferとかもこの段階で練習してみるといい。

③ Feedback: くるくる調整する段階。②をやると、必ずクラスメイトからはリアクションが返ってくる。超重要。普通に行けば笑ってもらえたりするが、通じなくて「は?」となることもある。実は失敗するのも大事で、「これは実はこういう意味で、次からはこう言えばいいにょ」と教えてくれたり、言いたかったことを一言でずばっと言い換えてくれたりして次から使えるからだ。

④ Solidify: グミが固まってるのを確認する段階。最初はちょっぴりしかついてなくて効果あったのか?と迷うだろうが、積み重ねていくうちに一口サイズに。豆で几帳面な人はその過程を記録してもいいかもしれない。学んだ内容を言語化する意味で誰かに話してもいいかもしれない。いずれにせよ、繰り返すのが大事だ。

日本にいるとInputはいくらでもできるけどOutputをする機会がないしFeedbackで調整をかけることもできないので難しい。逆に、擬似的にInputとFeedbackを同時に受けられる装置として、御悩み相談を読んだり聞いたりする方法もある。御悩み相談というのはうまくできていて、行間からその文化の常識がどうしても読めてしまう。問題に対するリアクションが交えられているからだ。回答者の価値観と自分のそれが合う場合に限ってだが。なので、ちょっと以下を紹介。

ー SlateでDear Prudenceのコラムを読む。:日本の一般家庭に頻発する問題を発言小町で学んだりした、下世話な話好きな私にはうってつけの方法だった。内容も、職場、恋愛、家族など多岐にわたっていて楽しい。難しくないのでおすすめだ。

ー Savage Loveのポッドキャストは、カリスマLGBT活動家、Dan Savage氏による政治的コメンタリー+恋愛(?)悩み相談で、決して万人向けではない。エロいし。だが、アメリカの性的風俗の濃さや深さが見え隠れして、ものすごく面白い。Dan氏の声も美しくてハマった時期があったのはここだけの話だ。LGBT系の話を全く受け付けないならおすすめはできないが・・・。

これはあくまで私の方法なので、他に渡米後に「こうやって奴らの文化になれた!」という話があったら、コメントくれるとありがたいです。

嗚呼木曜の夜


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まさにこんな気分。

エンロン事件と倫理


今週はSIP Weekといって、通常授業ではなくビジネス倫理やイノベーションやリーダーシップについてちょっと考えようキャンペーン的な授業だけが行われる週。ちなみに毎セメやっている。

そこで、MBA一年生は必修でエンロン事件の全貌をドキュメントした映画を通して己の経験について考え、将来「あなたなら、どうする?」を突き詰める!という授業だったんだが、まずこの映画で描かれているエンロン事件の全貌が半端ない。こっからちょっとわざと崩し言葉で書きます。考察は映画と講演とウィキペディアちょこっと、という程度の知識なので勘弁して下さい。映画は Enron–The Smartest Guys in the Roomというやつです。観て損はありません。

スキャンダルの有名な部分は飛ばしなんだが、もう飛ばしとかいう問題じゃない気がする。例えば、オリンパスの飛ばし事件は記憶に新しいが、なんかもうこれは次元が違。すごい無理やりな説明をするなら、「カメラ売ってきた会社がカメラ売れなくなったから粉飾決算(英語ではcook the book)しました」というのと、「巨大企業が一応エネルギーやってるはずなんだけどふた開けてみればビジネスそのものに実態はなくて不正会計操作だけで超儲けてました」というのの違い。

あと普通にひどいのが、カリフォルニア電力危機への加担。電力の値段を釣り上げるために、カリフォルニア州の電力会社に電話一本で停電を起こさせたこと(エネルギートレーディングで儲けていることになっていたので相場をいじるインセンティブがある)。これが中国とかなら「なんつう仕事をしてるんだアホな電力会社の誰かがまた馬鹿やったんだろう」で誰もそこまで気にしない気がするが、ここは西暦2000年の米国カリフォルニアである。イチ企業の電話一本で、なんの関係もない御老人が真夏の盛りにクーラーなし生活を強いられたり、(原因は忘れたが)大規模な山火事が発生したりしてええはずがないやんか。その責任が全部知事に転嫁されて、その流れでシュワルツェネッガー氏が知事になって・・・という流れを、映画では「まるでB級映画のような悪夢」と表現していたが、まさに画面のこちらでは一緒に見ていた友達と3人でOrZ状態に。サブプライムでウォール・ストリート批判が高まった時、「Wall StばかりBailするな!Main St.はどうする!?」という論調が目立ったが、エンロンとかは一応Main St企業だよね。どっちがひどいとかそういう話をするつもりは毛頭ないが、消費者の生活に密着している分、Main St.企業が暴走したほうがなんか怖くないか?と一瞬悩んでしまった。

極めつけに「で、結局エンロンはどうやってお金儲けてるの?」という質問に誰もちゃんと答えられないんだけどスーツ着た偉そうなおっさんに「いや君はそんな質問をするなんて何もわかってないね」と質問したほうがアホ!みたいな方向に持っていくのが常だったので、そのうちアホだと思われるのが嫌で、誰も何も聞かなくなったらしい。 「監査のアンダーセンも承認したし、まあなんとかなってんだろ」とでも。おそらく相当の競争をくぐり抜けてきた頭いいビジネスマンたちが、である。ルーク氏とかに言わせれば、「だからこそ、失うものも多くてアホだと思われるのが怖くて考えること自体やめちゃったんだろ」ということなんだが。実際、刑務所にぶちこまれたのは会計士ではなく「なんとかなってんだろ」と言っていた人たちの上司なので、「わかった振り」は時にものすごく高く付くということか。

ディスカッションのあとにエンロン崩壊の一端を担った内部告発者のシャロン氏の実物(映画にも出てた)が来てくれて質問に答えてくれたんだが、いくつかなるほどと思うことを言っていたので以下引用:

「ちゃんとしたビジネスであるなら、5歳児でも理解できるように説明するのは可能なはず。その説明ができないビジネスは基本、怪しい」

エンロンはすごく楽しい会社だった。 人事評価が完全成果主義だったから無能なボスはすぐ消えたし、「こういうプロジェクトがしたい」と手を挙げれば六ヶ月後には承認されて予算も降りた。ボーナスも評価が高ければ、年収分は軽くもらえたし。だから誰もそんな流れを壊したくなかったんだと思う」

「いつも儲けたお金の量の話ばかりしている会社で働くのはやめた方がいい。絶対に人生損するから」

講演のあと、隣りに座ってたルーク氏に「そもそも本当にお金儲けてるわけじゃなかったのに、人事評価が完全成果主義なのってどゆこと?何で評価してたわけ?やっぱFake revenueかな?」となんとなく聞いてみたらにやにやと「だから頭いい人たちって馬鹿なのさ」と意味深に返された。「だって考えないんだもん」

そもそも、人間の脳は40Wの電球並のエネルギー効率で、暗めの裸電球と同じく頼りない。だからデザイン上、考えないためのショートカットをたくさん備えている。頭いい人たちが馬鹿というよりは人間は基本的にどっちかっていたらアホなところが多いのでそれを頭の片隅に入れてリーダーシップ取ろうねというのが主なtake awayなんだろう。

いろいろ消化できてない部分も多いが、強制終了!

偏食王のいる空間


約二ヶ月ぶりに、偏食王がPal Altoから訪ねてきた。

三年近くものすごく近くにいたのに、たったの二ヶ月がどんだけ寂しかったのか、先方の顔を見て気づいたり、過度に眩い婚約の象徴を手渡され、文字通り目が眩みそうになったり、いろいろ感情的な週末となる。永遠に輝くあれについては、当初は 「なんか結婚税みたいだよね 」とか、「あれだけのキャッシュでいったいIPad何枚買えるんだ」とか、結構格好つけてぼやいていたのに、実際手にしてみると理屈ではない何かを感じる。

私はなぜか、「これで本当に大人になったのだ」と奇妙な喜びと達成感をおぼえた。でもまああ、ご存知の通り、世間的にはとっくに大人である。MBAの中では、特にMITでは年若いほうではあるが、30代のクラスメイトとも対等に接しているし。でも、そういうことではなく。

たとえば革命前の中国では、既婚女性は髪を高く結い上げ、日本でも私が愛してやまぬ藤村の詞に「まだ上げ初めし前髪の」とあるように、ひと昔前は、大人になるイニシエーションは社会的にアピールする何らかのようビジュアルが伴った。でも当然この世の中では、というか私個人の今まではそういう感覚に乏しく今までやってきた気がする。日本人ホワイトカラーのように大卒後からスーツを毎日着るようになるでもなし、むしろ前職では大学時代の格好そのままでビジネスカジュアルとされたし、プライベートではそれこそ好き勝手だ。

ユダヤ人のラビは結婚して一人前とされたように、社会的に契約したパートナーが存在する人間は、どう考えても子供ではあり得ないわけで、そこを隔てている唯一の物的シンボルが永遠に輝くあれなわけで、私がおぼえた感覚を無理やり説明しようとするとそこらにたどり着くのかもしれない。

要は、パートナーがいる感覚も、離れて有り難みがわかる感覚も、やっぱしいいなと。

夜はアントレ一筋のクラスメイトとその彼女さんで、アントレ教育で有名なバブソンMBAに通うEriさんと一緒に最近ボストンの日本人界隈を騒がせているラーメン屋「夢を語れ」に挑戦してきた。二郎系らーめんという肉も野菜も山盛り、スープは背脂だらけ、の濃すぎるスタイルは実は初めてで、偏食王にも写真を見せたりして脅していたんだが、なぜかノリノリで参加。結果、7時近くに行ったので約二時間ならんだが、ボストンにしては珍しい暖かい夜の中、クラスメイトもErIさんも話していてめちゃめちゃ面白く、らーめんが目の前にくるまでにはものすごく空腹からアグレッシブになっていて私には珍しく完食してしまった。結果オーライ。

偏食王も、Garlic pork fat pasta, yum!! :P とどこか的確な表現をしつつ美味だと結構気に入っていたのだが、いくらなんでも二時間待つのはありえなくないかと疑問を呈する。日本ではらーめんてのは宗教的なもんだから、ととりあえず説明しておいた。

土曜の朝七時に到着して日曜午後にはトンボ帰りしてしまったが、実に充実した週末だったよちょっと寂しいけど。

さかのぼって、金曜日もHBSのクロスドレッシング(女装男装)パーティー、プリシラボールというやつにパイロットの格好で出席したり、その道すがらタクシーの窓からボストンキャリアフォーラムでリクルート中の旧職場ボスを見かけて一杯飲んだり非日常性たっぷりだったんだが。

試験終了&プロジェクト開始!


試験はまあその、よく中高生の試験後に我々の世代では「色んな意味で終わった…」とつぶやくのが流行っていたけれど、まさにそんな気分。でも、MITは試験成績があまり重視されず、評価も甘く、就活にも(金融志望でなければ)そんなに影響しないので、なんだか試験勉強自体がMBA生であることの税務みたいな感覚である。

試験後、とりあえず「今度からあんまし真剣に試験勉強することはやめよ」と思った。MBA生である時間がこの空間では一番大事な資源であるとするなら、試験勉強は機会費用が高すぎる。
ところで前に、某新星スタートアップとがちでプロジェクトをすることになったと書いたが、色々紆余曲折あってチームが再編成され、そこにルーク氏が加わった。

MBAの授業、なんか思ったより刺激されてないんでしょ?じゃ私と本物のプロジェクトやろうよ?

とカマをかけたら、本当に乗ってきたのだ。わーい。

渉外のプロ(ていうかまあ、アントレだからなんだけど)から学ぶことも、テック産業から学ぶことも多く、その上でバリューを出せるのか本当に挑戦フェーズだけど、人生でこれほどポジティブな意味でやる気になることも珍しいので頑張ってみる。あと、難しいレベルのリーダーシップ経験が比較的乏しい私にはなかなか刺激的な仕様になっているのでそこも楽しみだ。

で、今さっきミーティングをしたんだが、まず諸事情で色んなシリコンバレー系のスタートアップをインタビューせねばならず、

私「よろし。ではインタビューガイドとか作ろうか。そもそもどうやってこのしゃちょーさんたちにメール書こうか。どうする?まあ実際サンフランシスコまで行けるわけでなし」

と、ブレスト的に適当に話を振ったら、

ルーク氏「どうして会いに行けないと決めつけるんだい?経験上、『MITの起業志望の学生です。来週末、ちょっと経験をお聞かせいただきたいのですがご都合は』なんてメールを流したら「はるばるうちまで来てくれた」ってことで、かなり優先的に会ってくれるし、そこで築いた関係はうまくすれば一生ものだ」

唸るしかない。ここは己の発想の狭さを嘆くべきなのか。私は結構幼い時から世界を見てきたつもりで、見識の狭さから色んなことを決めつけて損するのは常々もったいないと他人に対して思ってきたわけなんだが、彼のような人から見れば、私は見えぬ観念に縛られて成功へのいくつかの道を遮断している愚か者なのかもしれない。経済のあれでいうなら、DWLだらけなんだろう。

でも、ここはポジティブに行こう。まずE&Iでもないのに、シリコンバレーの旅に行けることになったよ!

追記:

このブログを読んでくれていて、かつ一緒に組むことになったクラスメイトの某ガバメント系銀行のお兄さんをルーク氏に会わせる時、「このひとはLoan Shark(高利貸し)ですw」とひどく悪ノリな紹介をしてしまった(もちろんLoanしか合ってないのは承知)。さすがのルーク氏も「まじか!」と瞳孔を開き、お兄さんはもちろん「いやいやとんでもない、ていうか逆です。弊社はですね・・・」とまたひとつ賢くなるような話を聞かせてくれた。私は前からIce Breaker で極端な話をするのが好きで、盛り上がったのはよかったんだが、この場を借りてちょっと謝罪してみる。すんまそん。

【宣伝】社会起業家クラスメイトの素敵なベルト屋さん


みっどタームも佳境、他のClubやプロジェクトはもっと佳境なので、ちょこっと宣伝だけしてみる。

同じOceanではないが、ライアン君の友達のダニエル氏が立ち上げた西アフリカ、シエラレオネ共和国の海岸でローカルソーシングしているおしゃれなベルト屋さんである。

見ての通り、結構きれいで、まだ資金集めの段階なので誰ももっていなさそう感がいい。

ビデオでも語っているが、ベルトもバックルも、その海岸地区の人々の雇用創出に貢献しており、材料もすべてその地区から調達している。バックルに至っては、身体障害者を優先的に雇い入れている。そして、世界に通じるクオリティにするために、1年を費やしたそうだ。

普通のベルトは1本$30なんだが、$110で5本という割引もあり、さらには$270で「あなたの名前のついたブランドラインをイチから作ります」・・・これはすごい。発想がスマートだ。なかなかプレゼント出来るものではないので、彼女にいかが?

ちなみに私は普通に買う予定なんだが、どれにしようか本気で迷い中。

日本にも送料$12で発送できます。

よろしかったら、ぜひ。

みっどターム前夜


ああ、すごく書きたいのに書けないことが溜まっていく。

あ、いえ、パーソナルライフはとても順調です。偏食王が今週末遊びにきてくれたりする予定だし、金曜はHBSの友達に誘われてクロスドレッシングのパーティだし、来週はリーダーシップやイノベーションをなんちゃらする週なので特に授業がないし、いろいろ楽しみなことが多い。

Policy Forumでは顔合わせにブランチを組織したら思ったより人が集まって、次のスピーカーイベントで呼びたい人を決めたり、いつ集まって政策政治の話を国別にするか決めたり、ぐだぐだ推奨な私が開いた集会にしては超プロダクティブに話が進んだ上に議事録を全体ミーティングに流したらあれよあれよと希望者が増え、思ったより盛り上がりそう。タイミングを見つけて日本人ジェントルメンも引っ張ろうかな。絶対誰も知らない面白い話ができそう。

あ、それとスタンフォードGSBとHBSは両方とも説得力を鍛える授業の一環で超古い映画である『十二人の怒れる男』を観たらしい。Sloanも取り残されてはたまらないのでうちのチームだけでも組織しよう。そうしよう。

このみっどタームさえ終われば!

まあ、所詮は会計なんだけれどね。明日に関しては・・・。

人生と決断とルーク氏祭り。


今日はいろいろドラマチックだった。

まず、金曜ということでキャリア関係の話を聞くのが慣例なんだけど、組織論の教授が人生とキャリアとバランスの選択の濃い話をしてくれて、しんみりする。

そして、もうすぐ中間試験なので真面目にRecitationに出てみたり、経済の問題って意外と苦にならないなとありがたい発見をしてみたり。

そこまではよかったんだが、そっから少し、人生で久々に怒り心頭になるような出来事が起き、今やっているプロジェクトについてかなり重要な決定をしなければいけなくなった。
決断次第では、ステークホルダーを全員ハッピーにはできない、ちょっとセンシティブな決定を怒り心頭の状態でしてはいけないと思い、なんとかクールダウンを図っていたところ、思いついたのがルーク氏の存在であった。思うに、彼は浮世離れしている分、人生のプライオリティについて誰よりも周りに左右されることなく、考えることができる人物だ。何か決断をする際、わかりきっているPerspective以外のなにか大事なものを気づかせてくれる気がして、私は彼の携帯の番号を押した。

快く応じてくれたルーク氏と落ち合ったのは学校近くのベーカリー。

単刀直入に、プロジェクトとステークホルダーたちと、私の怒りについて説明し、「私はとりあえず、今の問題はプロジェクト自体を優先させると、ちょっと政治的な離れ業を使わないといけなくなる。これは正直ちょっと問題がないとは言えない気がするんだがどう思う?」と締めくくった。

が、彼の答えは明白だった。

「いや、君の本当の問題はそこじゃない。プロジェクトもステークホルダーも関係ない。君が何をしたいのか、Interestはどこなのかで100%決めるべきだ。MBAの2年間、最も貴重なリソースは時間であるということを忘れてはいけない。だから、興味が持てないと思うことに費やす時間ほど無駄なことはないんだから誰かをアンハッピーにさせたくないという義務感で何かを決めるのは結局誰のためにもならないと僕は思う」

自分自身の向き合えなかった弱さをつきつけられて、私はなぜだか、筆舌尽くしがたき爽快感を覚えた。

私は、まさにその、自分のInterestはどこなのか!?で物事を決めるのが苦手なのだ。物心ついてから今まで、ほんとに苦手なのだ。

ルーク氏は笑って、おのれの人生のストーリーを語ってくれた。

曰く、彼はもともと頭がよかった。当然だ。見ればわかる。が、行った大学はアイビーとかではなく、インディアナの小さなリベラルアーツカレッジ。ランキングも、そう上ではない。でも、それがよかったのかもしれないと、彼は語る。12歳まで、ルークはクラスで一番頭がいい子で、それが当然だと思っていた。が、彼の両親の方針で入れられた、ひと学年30人しかいない私立の中高では、知的であることがネガティブなこととされ、そんな環境に適応するために思春期はものすごく学びから遠ざかっていたんだそうだ。それで、大学は行くものと思って惰性でテキトーに受かったところに入り、そこで哲学と恋に落ちたという。それから4年、彼は米大学では難しいとされる哲学でストレートAを取ったり、授業の20%は彼の発言!みたいな状況になったり、哲学教授とがち討論しまくったりと濃い大学生活を送り、カナダの極貧神学生生活中に父親のインドアウトソーシングビジネスを引き受けるまでは哲学にどっぷり浸かっていたという。

「君が今まで、日の当たるグローバルエリートの高速道路を突っ走ってきたとしたら、僕は12、3歳の頃から高速どころか道端の茂みに突っ込んで20代後半になるまで出てこれなかったも同然なんだよ。だから読んだり書いたりはすごく好きで得意だけど、計数ではいつもいろいろ間違えるし、君みたいに定量的科目で余裕そうな人が羨ましいことがある。でも、神学生時代は収入がマイナスだったから、起業することになっても機会費用がマイナスだった。『収入ゼロでもマイナスよりはマシ』って状態で突っ込めたから、今の自由やそこそこの成功があるんだと思う。

それで、今、こんなMBAでなんか来て、また高速コースに戻ってきた懐かしい感じがするんだけど、皆才能がすごいあるのに人生すべてを高速で走ってきた人々の、失うのが怖いがゆえのキャリアチョイスがすごくもったいなく思える。主に君とか。君とか。まあジョニー氏やKIM氏もそうだけど。けれど、僕がリスクをとれたのは12歳の時から道端の茂みに突っ込んだせいなんだよね。それ言い換えると、人生すべてが高速ってのは、それ自体が結構リスクな気がしない?」

ものすごく、する。笑。
確かに周りを見渡してみると、「卒業後は絶対起業しか興味ない!」と断言しているのは、トップコンサル出身のライアン君を除けば「いや別に自分はスクールネームとか大したことないし別に他の人々に比べればスキルもないし、ただ好きなことだけやって生きていきたいから」と自虐的になるでもなく淡々と言ってる人たちで、彼らは本当にコンサルとかに興味が無い。

好きなことやって生きる。MBAは本当に何でもいいからそれを考えろと、そのためのツールは用意するからと、突きつけてくる装置である気がする。まあ3割くらいコンサルが卒業後のジョブだけど、その3年後くらいには、皆いろんなとこに枝分かれしているし。私は26歳にしてようやく、その可能性を本気であたりはじめたわけなんだけど。だから今、かなりいっぱいいっぱいになるくらい色んなことに手を伸ばしているわけなんだけど。

最後に、ルーク氏は言った。

「起業するなら、自由になりたいなら、以下のソフトスキルを身につけるべし。

ープレゼン及びパブリック・スピーキング。これは実は少数を除いて皆苦手だから練習さえすれば平気。
ー交渉力。いくらプロダクトやサービスがよくても、ネゴ力で500万のプロジェクトが簡単に100万に目減りする。絶対重要。

これからもいくらでも相談に乗るから、経済とか教えてね☆」

忘れてたけど来週からみっどタームだった・・・。