ワインの国ナパ訪問中!と、ちょこっと教育の話(KIPP)


サンフランシスコに来ているはずが、なんかスタンフォードの寮でうろうろするのもなんなので、車で1.5時間のワイン国ナパで2泊3日旅行することに。

ナパがワイン有名なのは、あのドタバタ不謹慎映画『Hangover』で主人公のひとりが独占的な彼女にラスベガスに行くと言えず「ナパでワイン・ティスティングしてくる」と嘘ついていた経緯で知ったくらいのテキトーな私なんだが、道中からしてカリフォルニア郊外の荒野なりの美しい景色とか紅葉とかぶどう畑が車窓から見えて非常に愉快。

早速ホテルから歩いていける距離のwine tastingができる店を3つくらい訪問し、偏食王と二人で5種類x3くらいひたすら赤を賞味しまくり、Zinfandelがやたら美味なので今度一本くらいおみやげに持って帰ろうかという話に。

もともと私は赤だろうが白だろうがワインリテラシーが皆無に近く(PinoとかMerlotとか、ぶどうの種類の名前がわかる程度)、Trader Joe’sの最安ワインの一本$2.99のCabernetをこよなく愛し(値段の割にはDecentなワインと定評があるものの)、一杯やるのでもビーフシチュー煮るのでもサングリアでフルーツ放り込むのでも濫用している有様なので、そんな私がワインについて語っておのれをEmbarrassingな立場に追いやりたくないため、ただ美味しかったよというだけに留めておくw

あと、周辺は食べ物も美味しいので(ミシュラン1つ星レストランがあったり)落ち着いた小旅行先としては最適ではなかろうか。

話が変わって教育ネタ。アメリカで最も成功しているチャータースクール、KIPPの誕生を記した本であるWork hard, be niceをオーディオで聞いているんだが、これがまた面白い。何度か動画を貼ったことがあるけれど実は時間がなくて本を読み進める時間(というか聴き進める時間)が今までなかったのだ。

先日はSloan卒業生の教育起業家にも出会ったし、教育熱が結構高めなので休みを利用して進めることに。ちなみに教育起業家の人はGradableという、試験の採点をデジタルにやってくれるだけでなく生徒個人の学習進度や苦手分野の統計などを自動的に取ってくれるアプリを開発して公立学校に売ろうとしている。代ゼミや日能研が当たり前の我々には「今更やがな!」と思わないでもないが、米国の公立学校の現場ではそんな設備も設備を可能にしようっていう文化もプレッシャーもないため、画期的な商品として注目されているのだ。

話戻って、Kippでした。Work hard, be niceはこちら。ビル・ゲイツが絶賛している、アメリカの教育格差解消に最も貢献しているというチャータースクールができるまでをとてもドラマチックに記した本。そもそもこのビル・ゲイツのTedでこのTFA卒の二人の優秀な25歳から派生したプログラムの存在を知ったんだが、本自体が「問題→懊悩→糸口→試行錯誤→解決」の短いループの連続で非常に読みやすく、教育に特に興味がなくても「頭が良くてやる気がある若者の問題解決戦記」みたいなノリで楽しめるもんではないかと思う。

Work Hard, Be Nice: How Two Inspired Teachers Created the Most Promising Schools in America

何がそんなに楽しいのか?例えば、KIPPとはKnowledge is Power Programの略。知識とは力なり。けど、格言で終わらせないところがすごい。KIPP内では、教師と子供がみんなで以下のスローガンを朗々と諳んじる。

Knowledge is Power (知識とは力なり)

Power is Money, and (力とは金なり、そして)

I WANT IT! Yay! (我、金を欲す!快哉!)

なんか翻訳のテンションが微妙なのは置いておいて、低所得者層の10歳児に勉強することの大切さを説明するのにこれ以上効率がいい上に現実を直視しまくったスローガン、他にあるだろうか。もちろん画面の向こうで眉をしかめている読者の顔が思い浮かぶが、創設者もアメリカのお役所の人たちが眉をしかめるのを見越して彼ら用の説明では「金」のかわりに「Freedom」を使ったりしたらしい。けれど、対子供用の意味がぼやけるから気に入らなかったとか。

というわけで、いろいろ楽しいのでお勧めです。

洋楽がそんな好きでない私の好きな洋楽バンド


ここにもたびたび書いているが、私は18でアメリカに出たくせに、洋楽をあまり好まず、日本でいうとSound HorizonとかAli Projectとか陰陽座とか、あまりメインストリームのカラオケ大会では歌えないような物語性が強く歌詞の世界が深くいい声の女性ヴォーカリストがいるバンドなどを偏愛している。たぶん、フェリス時代の友達のなかで、Maroon 5を去年まで知らなかったのは私くらいではなかろうかというレベルだ。英語の歌自体は、『オペラ座の怪人』及びNightwishなど世界が濃ければ別に好きなんであるが。

この前Keshaを紹介したのも、どっちかっていうと「これはいくらなんでもひどすぎるだろ(笑)」とパロディが面白いからであって。

けれど、最近になってちょっとハマった洋楽バンドがある。デビューしたばっかりの、 Delta Rae というフォーク・ロック・バンドである。
そもそも知ったきっかけは、ボーカルのひとりのEric HölljesがDuke大学のクラスメイトに当たるからなんだが(面識はない。偏食王はあるらしいが)、まあどうせ洋楽だしと思ってYoutubeを見てみたら、二つの意味で度肝を抜かれた。

まず、このBottom of the riverという曲なんだが、1)歌詞が際どく聖書レフェレンスだらけ2)まずテーマが魔女だし3)女性ボーカルの声量が半端なしという、私の好みのどまんなか。

そして、こちらは彼女の兄貴が歌っているんだが(5人くらいのバンドのうち3人が兄弟なのだ。なんかすごい)、Chain of Loveという同性婚Advocateの曲で、声もメロディも甘い感じがアジア人好みではないかと個人的に思う。LGBT活動家の友達が最近結構いるので、ちょっと薦めておこう。

まだレコード契約をしたばかりで曲数も多くないんだけど、これからが楽しみである。

サンフランシスコ ① いけてるスタートアップ訪問と映画『リンカーン』


しばらく滞在するのでシリーズ化しようかなと。

諸事情で会社名は明かせないが、ベイエリアのいけてるスタートアップにコールドメールでアポをいれて突撃訪問するという実にコンサバな私らしくないことをしていた過去2日間だったんだが、予想をはるかに上回る楽しさで頭がくらくらしている。

もとはと言えば、ルーク氏の「会いにいけばいいじゃないか」という爆弾提案に失うものの少ない学生身分からくる向こう見ずさで乗っかっただけなんだが。

「相手にされるはずがない」といろんな人に警告されてはいたものの、思った以上に返信率は高く、会話はフレンドリーで、個性的なしゃちょーさんたちから受ける刺激も強く、何よりこの先につながる何かを築けた感及び自分の突撃経験値を胸にとりあえず次のステップに無事に進める。こういう対人系の成功体験がとても欲しかったところでもあるので余計に。

で、スタンフォードGSBの寮にいるわけなんだが、感想をひとことで言うとやっぱし・・・・・・違う。

まだ授業などには潜り込んでいないものの、建築からしてHarvardとかYaleとかDukeみたいなクラシック風味満載のゴシックとか煉瓦建築ではなく、スペインとか南欧系のリラックスした建築が椰子の木にめちゃめちゃマッチしていて、郊外型だから空気も良くてもちろん天気もいいのでなんだか早速帰りたくない。

あと、白人の兄ちゃんなのに私のように中日英語のトライリンガルというありえない個体が偏食王の隣に住んでたりとものすごい出会いもあったり。

一緒に映画『リンカーン』を観たけれど(バンパイヤハンターじゃないやつね)、あれは傑作なのでお勧めです。私が観たあと気が滅入り過ぎて過呼吸を起こした忌まわしい映画、『There will be blood』と同じダニエル・ルイスが主演なんだが、こちらの大統領はとても親しみが持てるキャラで、主観的にしかこういうのを評価できん私からすると名演だと思う。正しいと信じている法案でも、説諭説得ではどうにもならないなら賄賂根回しと清濁両道で闘い、事を成したあとは木枯らし吹く胸を抱きつつさわやかに微笑む感じは、どこか中国時代劇のばりばり政治系の『雍正王朝』『貞観長歌』あたりを思わせる。とりあえず、狸親父賛歌みたいな映画でもあるのでそういうのが好きな人にはおすすめです。渋いです。

いろいろ言葉が足りないが、宿題もやんなきゃなのでそろそろ打ち切ります。

Peer Feedbackとサンフランシスコ


コアチーム内でFeedbackを行うというセンシティブな強制イベントがあったんだが、無事クリア。

結構思って見なかったような視点からの意見も出て、なかなか参考になった。ポジティブな点と改善点を織り交ぜろという課題だったんだが、数名からは「特に改善点思いつかないからテキトーに言ったw」とあとで言われたり。

けど、参考になったのは、ジーコ氏の

「お前は、しゃべる時文章が長い!俺とかにはFollowしづらいんだよこのやろー」

なんだそれは?

Kim氏が解説してくれたんだが、「実はこれ俺もなんだけど、一晴は何か喋る時、喋ってる途中で新しい考えが思いつくとそれを普通に挿入してそのまま一文が長くなるよね。話が長いというよりはワンセンテンスが長い。すごく簡単な解決法は、何か自分がいつも文節だと思ってるあたりで一回切ること。2秒で片付くからやってみ」

やってみます隊長。

さて、行ってきますわそろそろ。いざサンフラン。

今日は短いので、イノベーションぽいネタ。

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今日の息抜きネタ~Ke$haのパロディとヲタのお見合い


なんかもー連休がほとんど勉強とディナーパーティに費やされてちょっと寂しかったんだけれども今日はこれで癒されたのでシェアしよう。

まずこのPictureがSloan生のFacebookを震撼させていた。

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この世代は結構ドラゴンボールが通じるらしい。てか、まじさ、ドラゴンボールの本質理解し過ぎだから。

あと、これは私自身があまり詳しくない洋楽ネタなんだが、Keshaの超有名なこの曲の、いい意味でひどすぎるPVがまずこれ。

そして、これがパロディ。なんかもー、パロディなのに正しいとこがもー。笑いすぎて涙でた。

ビーフシチュー・ディナーと教育について


四連休の合間で宿題が多いのは仕方ないにしろ、ちょっとSocialなこともやらねばとビーフシチューディナーを企画。

スロークッカー(こちらではCrockpotという)という常時電気とろ火の土鍋のような装置でサイコロ状の牛肉をワインで6時間以上煮込んで玉ねぎ人参セロリを2時間目くらいに突っ込むとどんなに手を抜いてもそれなりの味になる上に来客の見栄えがいいということで、ここに来てからは「一晩煮込んだビーフシチューあるから食べに来てよ」が有効な誘い文句となっている。Sloan生は多忙なので、サンドイッチ屋が食堂と化している人も少なくなく、家庭料理の凝った雰囲気のやつに対する需要は高い。

なので、「すごく面白いと認定しているのにゆっくり話す時間がいつも取れない人たち」を意識的に呼んで、ワイン飲んでシチュー食してチョコつまんで仲良くなろうということを繰り返してみようかと思う。

で、早速Admit weekendで知り合い、偏食王と故郷が同じで意気投合したレイチェル女史を招いてみた。彼女は超名門リベラルアーツ(別名ヲタともいう)のSwarthmore卒で、Sloan来る前は「低収入家庭だけれども有望な高校生を大学にちゃんと入れるNPO」で働いていたという、私のシナプスを無駄に刺激しまくる人でありながら、いつも教育とかの話がいいところに差し掛かると邪魔が入って歯がゆい思いをしていた。

私は最近はあんましだけれども、ここで散々教育について考えていることを書いていて、卒業後の進路にちょっとその要素も取り入れたいと思っている。もっと言うと、教育系のコンサルかスタートアップにJoinするかマジでStartしちゃうか、っていうところまで考えている。けれど、私は本物の子供に触った経験があまりない。他のことに関してはすごく「とりあえずやってみよう」的な実践思考なのに、教育に関しては関心がありまくるのに机上の空論をこねくり回すのが好き。だってまあ、「論」に関しては自分がほんの子供(8歳くらいだったかな?)の頃に三石由紀子氏の早期教育論を読んだのが原点みたいなテキトーなものなので実践は自分自身、あとは全部理論(ただしActionableな)が基本形。子育てシミュレーションもそんなノリで書いたものだし。

それでも、教育を語る際に私の特徴(とレイチェル女史と話していて気付かされたポイント)がいくつかある。

私は、現場で子供に触ったことがないせいか、大ナタを振るう過激系の提案が多いらしい(KIPPが成功しているのは、別に算数を教えるのに低所得者家庭の子供のほうが普通の子供の2倍時間がかかるとかではなく、究極的には子供を家庭や悪い友達から引き離し、その時間を独占できているところにある。だから教育格差解消の次のステップは高校まで全寮制だ!とか)。でも、それは非現実的というよりは、やれFundingがないの、Authorityがわかってないだの業界にどっぷり浸かった人たちには面白く聞こえるらしい。

レイチェル女史は組織論のプロジェクトでも「高レベルの教育を低所得者層の4-8年生に無償で提供し、名門私立高校のスカラシップを取りに行かせる女子校」を担当しているのだが(ちょっとうらやましい)、最近その組織は「同じような団体が同じような子供をターゲットにしていて、名門私立高校のスカラシップ枠競争が激しくなっている」のが悩みなんだとか。

私「悩む意味がわからない。自分のとこを拡張して名門私立高校にしなよ」

レイチェル女史「そうきたか(笑)」

私「だって、名門私立高校に受からせるだけのリソースとスキルがあるなら、それを大学行かすのに役立てるのはそんな難しくないでしょうが。スカラシップ狙いというのはあまりに道が狭くないか?」

レイチェル女史「でもね、現場では大学出たての教育に興味ある若者をボランティアに近い給料で雇っていて、子供が大きくなりすぎると先生のマネジメントスキルが追いつかない可能性があるのよ」

私「(ぽかーん)なんだそれは・・・。ああ、そうか。アメ人のクラスルームでは基本的に授業面白いか教師が権威を超保ってないと誰も話し聞かないのか!」

レイチェル女史「そう、それそれ笑」

みたいなノリで。

あと、レイチェル女史から聞いた考えさせられる現場の実情。特に低所得者層のちょっとモチベがあるティーンエージャーを何人も担当していた彼女から来る話だと重いんだが、今までたくさんの「頭はいいけど家庭環境と近所環境に恵まれていない子」で、「成績が上がってきた」「大学のスカラシップの可能性がある」「SATでいいスコアを取った」など、ちょっとメインストリームの指標で成功しかけて、こちらが「その調子だ!これからも頑張れ!」と励ます段階になると、必ず何か物理法則のように反動的に授業をサボったり、何か万引きしたりする子が多いらしい。

レイチェル女史「なんかもう、メインストリームの成功ていうのが、私達にとっては家族や友達からも推奨されてきたことで、当たり前のように追い求めていたことだけれど、彼らにとってはそうじゃない。親兄弟友達と全く違う生き方を追求することは、ティーンエージャーにとってはものすごくプレッシャーになるの。私達が小さい頃からいい成績を取ったら褒められ、そのまま言われもしないのに今コンサルとか目指しているのと同じような目に見えない力が働いているかのように

私の直感はある意味正しかったわけだが、同時にどこか絶望的でもある。我々自身が、そういう目に見えぬプレッシャーの強さを毎日実感しているからだ。方向性は違っても、人間である以上、自分とアイデンティティを共有する者が言語化したりしなかったりすることで敷いたレールから抜け出すのはものすごく難しいのは最近の自分の進路選択の情けなさでよくわかっている。

ルーク氏にも最近言われたしなあ。「君の足元、ほとんど三歩先に黄金が転がっているのに、レールの先にないからって見てみぬふりするのかい?」とかそんなことを。

このレールとか広く言えば「文脈」ってやつは本当に人の人生を決めるのに厄介なのにAuthorityはわかっていない。

たとえば話は全然変わるが不良少年少女(心理学的にはConduct Disorderとかいう診断名がついている。アメリカの犯罪の50%を犯している2%の人口のこと)を更生させるのに少年院や鑑別所はさらに強い不良ネットワークが構築されるため全くの逆効果で、軍隊式ブートキャンプは家に戻されれば元の黙阿弥(アメリカの有名な犯罪者で「軍隊に居たときは普通だった」みたいなの結構いた気がする)。

で、唯一更生でものすごく効いたのが「専属・怖いおじさん」。例えば家で寝てたり街でぶらぶらしたりするのをとっ捕まえて学校に行かせたり、宿題やってるか監督したり、街にふらふら出かけていろいろ吸ったりするのを取り上げる、「怖いおじさん」。彼らは不良リスクのある少年少女の生きる文脈そのものに介入し、Disruptしているから、ものすごく効果が高い。日本で大人気のカリスマ教師漫画でも大人気のモデルだが(GTOとか金八とか)人件費が高く付くためスケールが難しい。ならスケールが効く全寮制の帰省禁止モデルでも作ればいいって話だが、そこまでやるのはいくらなんでも乱暴なんだよな。

でも、レール意識が強いぶん、私は教育を受ける過程で、やっぱり出口というものの意識が強いとこれまたレイチェル女史に指摘された。

私「Teach for Americaの効果がある意味限定されているのも、やっぱりそれだけじゃ大学には連れて行ってくれないからだ。いい先生が2年くらい居たって、その次の担任や次の学校がしょうもなかったらImpactはゼロに近いわけだし。アメリカの教育格差問題の大半は、「親の代わりに大学に連れてってくれる機関」を設ければなんとかなる気がする」

レイチェル女史は、Sloanに来る前まさにそんなところで働いていたわけなんだが、リソースの制約でいろいろ大変だったらしい。

そんな大盛り上がりのディナーだったので、またやろうと思います。

さて、KIPPとはなんぞや?って人はこのビデオを見るべし。

ボストン不意打ちの雪+来週からサンフランシスコに行きます。


久しぶりに会社説明会もないし、早めに帰ろうとE62を出たら、初雪が吹雪いていて、なんかものすごく不意打ちされた気分w

ルーク氏などとやっているプロジェクトは、ルーク氏の予言通りアポが結構とれたので、来週木からサンフランシスコに行きます。で、サンクスギビング後までがっつりいる予定なのでとても楽しみだ・・・特に雪をAvoidできるのが楽しみだ・・・。

最近出会った楽しすぎるクラスメイト達


寒すぎて、ダウンコート着てるのに露出している顔とか耳が凍りそうという経験は、何時ぶりだろう。朝外に出たら、バケツの水が凍っているレベル。最後にこんなんだったのは・・・2006年くらいに付き合っていた野郎の関係でモントリオールとかに行っていたときだな。あれは無理だった。うん。ハルピンという、ロシア以南最北端都市で生を受けた身としてはもうちょっとしっかりしたいところなんだが、ハルピン経験はせいぜい6歳までで、当時はボールか何かのうようにセーター4枚くらい重ね着してたから絶対数のうちに入らない。

重ね重ね、MITで出会う楽しすぎる人々について書いてきたが、11月に入ってさらに出会いが加速。たまたま行った雷電氏(チャイ語がちょっと喋れるヲタ友で、苗字がレイデンなのでモータル・コンバットの雷電とあだ名している)が主催したブランチで出会ったのは、元天才ピアニスト少女のアマンダ女史。小さい頃になんとなくピアノを弾いてみたらハマって、14歳からプロとなり公演三昧の日々を送っていたら高校から出席日数不足で退学となったけれど、「そんなの関係ねぇ!」なスタンスだった超名門ジュリアード音楽院に進学。たぶん高校卒業してない同級生とか、さすがに彼女くらいではなかろうか・・・。そして、プロとしてやってきたのはいいけれど、そろそろピアノ教えるか何かしなきゃいけない年齢?に達して「それはやりたくない」と気づいたけれど非音楽関連の就職先がなかったのでとりあえずWEBデザインを学び、Webサービス会社を立ち上げてそこそこやってきたけどもうちょっとビジネス学びたくてSloanにきたらしい。

「なんか、皆私の経歴聞いてすごい新鮮で面白いっていうけれど、私もみんなの経歴が新鮮でおもろいわー」

と言っていた。希少性では誰にも負けないと思うんだが。そんな彼女の言葉の端々から、ものすごい知性と、なんていうか幼くしてプロとして活躍し、公演ひとつ300万、みたいな仕事をしていた経験からか、ものすごく地に足のついた強さがにじみ出ている。

そんな彼女は、ジュリアード時代の元彼がロシア人だったので「ちょっとロシア語やろうかしら」「は?無理だろ」「なに。やってみせようぞ」という売り言葉買い言葉でロシア語をやる決意をし、以下の独学ですべてモノにしたらしい。

1、ロシアの歴史、文学、政治的背景について読みまくって理解する。
2、ロシア人の生友達か、テレビなどで彼らがしゃべっている時の仕草、笑いのツボなどを徹底研究。
3、ドラマ、映画などをロシア語字幕で鑑賞、物語とセリフを刷り込む。
4、以上のことを意識的に積み重ね、「ロシアという文脈に身を置く」ことを前提とした、言語修得を超えた「ロシア版自分づくり」を決行。

これで、ネイティブとはいかないが、ロシア現地で十分通用するものを身につけたらしい。この、文脈を理解して表現につなげる方法は、クラシック音楽の世界では常套らしいので彼女には普通だと言っていたが、私が前にグミの実モデルを紹介していたものより的確に言語化されていて、多彩かつ周到。これは英語に応用しないわけにはいかない。

こんなちょっとしたイベントでもすごいインスパイアが転がっている。出会いの取りこぼしがないように人々には全力で絡まないと!と考えさせられる今日この頃。

と、ここまで書いたところでオバマ勝利!アメリカ移民予定の私には嬉しい限りである。

大中華圏連合、始動


Greater China Clubが熱い。

MITには大陸、台湾、香港、またはその米国オーストラリアその他移民(総じてチャイ系)がめちゃめちゃ多いのに、Asia Business Clubはあっても、China Business Clubはなく、授業の合間やカフェやインターナルディナーでは中国語が飛び交うのに、こういった半正式なClub内ではそれをする場がない。

というわけで、Class of 2014のアイドルの台湾出身、Tちゃんが立ち上げた、Greater China Club。世界中のどこで生まれ育とうと、ちょっとでも漢民族か、チャイ語喋れるか、それらに興味あるかのいずれかに当てはまればよいという、ゆるゆる定義のOpenなChinaのクラブである。

その初ミキサーに行ってきたんだが、やはりバックグラウンドはそれぞれユニークだけど、「チャイ語(マンダリン)喋れる」という唯一の共通項にフォーカスして集まったメンバーは、結果的にものすごくOpenな雰囲気で、MBAプログラムではなくMaster of Financeにいる若い子たちを含め、久々に思い切り中国語で語り倒し、気軽な友達がたくさんできてしまった。集まった人も、台湾系か大陸系か香港系か東南系か、違いは認識して尊重するけれども、「でもマンダリン喋れるなら仲間だもんねー♪」みたいな始終いい雰囲気で、居場所としてもネットワーキングの場としても結構な好スタートを切ったと思われる。

ちなみに、マンダリンを特に喋れないアメリカ人や日本人もたくさん参加していたんだが、それはそれで「あら興味持ってくれて嬉しい♥」と非常にウェルカムで、地域に限定しないOpenさが、言語的にも限定しないなんでもありな雰囲気に貢献している。

私も、何人か今まで知らなかったMBA生に会ったんだが、なぜか先方は当然のように私を知っていて、

「あ、一晴さんじゃないですか、お噂はかねがね!」

なんて雰囲気で自己紹介されたことが数回w いやいや私はめちゃくちゃClubとかでアクティブなわけではないし(Policyのやつは箱も小さいし)メーリスに投稿しているわけでもないし、生徒会にも関わっていないし、チャイニーズとつるんでいるわけでもないから有名な理由はあまりないんだが、1)Japan Clubで一輪車を乗り回したこと 及び 2) 日籍華人という珍しいバックグラウンド でマンダリンスピーカーの情報網にたまたま乗っかっていたらしい。マンダリンスピーカー情報網、恐るべし。

というわけで、今まで手薄だったチャイ系のネットワークもこれから強化するのに最適な場を作っていけるのがとてもExcitingなのでした。

時間がないので思わせぶりなことだけ言い残してみる


本当に時間がないので箇条書きで。

1. 交渉の授業で学んだんだが、ルークは絶対敵に回してはいけない。交渉ゲームはゼロサム・ゲーム、という先入観からまずぶち壊すからだ。

2. でも、アントレの人ってthink outside of the boxは得意だけど作業と計数と計画性が・・・だったりして世の中うまくできてるなと思う。

3. 自転車の鍵が壊れたのでノコギリを買ってぎこぎこ破壊したんだが、腕力ほとんどなくてもなんとかなるもんだな。

4. 明日からみっちりケース面接やります。マジで。

5. Claymoreという漫画に出てくる名もない組織はとりあえず名前をつけることと、AlignmentやIncentiveを考え直さないと存続が難しい気がする。